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晩秋

秋も深まり、朝晩の冷え込みが厳しくなってまいりました。つい先日まで続いた長い猛暑が嘘のように、季節が一気に進んだ印象です。急な寒暖差は体調を崩す原因となり、特に猛暑の後の冷え込みは血圧の急な変動を引き起こし、心臓や血管に大きな負担をかけます。どうか服装や体調管理に十分注意しながらお過ごしください。

現在、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、感染性胃腸炎などの感染症が流行しています。高齢の方や基礎疾患のある方では重症化のリスクが高いため、引き続き、場面に応じたマスクの着用や定期的な換気、こまめな手洗い、咳エチケットなどの基本的な感染対策を心がけてください。加えて適度な湿度の維持、十分な休養と栄養摂取も大切です。人混みへの外出を控えることも感染予防の一助となります。

さて、本年10月6日をもって三島クリニックは開院45周年を迎えました。半世紀に近い歩みを振り返ると、多くの患者様、地域の皆様、そしてともに歩んできたスタッフの支えに改めて深く感謝いたします。しかしながら、私自身はここを「到達点」とは思っておりません。まだ道の途中であり、これからもより質の高い医療を提供できるよう努力を続けてまいります。昨年10月には院長が交代し、新しい体制でスタートを切りました。これからも、患者の皆さまに信頼され、安心して治療を受けていただける医療機関であり続けることを目指してまいります。

一方、社会全体を見渡すと、10月21日に高市早苗氏が日本憲政史上初の女性総理大臣に就任し、大きな話題となりました。物価高対策をはじめ、医療・福祉、経済、安全保障など課題は山積しています。医療現場においても、光熱費や医薬品・材料費、人件費の上昇により厳しい経営環境が続いています。国全体として持続可能な医療体制をどう守っていくかが、今まさに問われています。

今回の透析室ニュースでは、「腸内環境を整えて免疫力アップ」というテーマを取り上げています。透析患者さんにとって感染症は大きな脅威ですが、基本的な感染対策に加え、免疫力を高めることも重要です。腸内環境を整えることが免疫力の維持に深く関わっており、日々の生活の中でできることから取り組んでいきましょう。

季節の変わり目、どうぞお身体を大切にお過ごしください。

理事長 溝渕 正行

 

 

腸内環境を整えて免疫力アップ

 

透析析患者さんの死因 第1位は「感染症」です

日本透析医学会の2023年調査によると、透析患者さんの死亡原因の第1位は感染症であり、全体の約2割を占めています(下のグラフをご参照ください)。近年は心不全よりも感染症による死亡が上回り、その傾向は続いています。

感染症は、ちょっとした体調の変化をきっかけに重症化することもあり、日頃から「感染しにくい体づくり」が大切です。そのために欠かせないのが「免疫力を保つこと」です。

 

 

免疫細胞の7割は「腸」にあります

 

私たちの体を守る免疫細胞のうち、約7割が腸に存在しています。つまり、「腸の健康は体全体の防御力を左右する」といっても過言ではありません。腸は、全身の免疫システムを支える“最大の免疫器官”なのです。

腸にはおよそ1,000種類・数十兆個もの細菌が棲みついており、これを「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」または「腸内フローラ」と呼びます。顕微鏡で見ると、色とりどりの花畑のように菌が群れていることから「フローラ(花畑)」と名付けられました。

腸内細菌は大きく分けて「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」の3つがあります。健康な腸では、善玉菌 : 悪玉菌 : 日和見菌 = 2 : 1 : 7 が理想的なバランスとされています。善玉菌は乳酸や酢酸などを作って腸を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を防ぎます。

善玉菌にはビフィズス菌や乳酸菌などがあり、ビタミンを作り、消化吸収を助けます。感染防止や免疫力アップにもつながり、健康維持や老化を防いでくれます。

しかし、加齢・運動不足・睡眠不足・ストレスなどによる自律神経の乱れ・便秘・薬の影響・細菌感染などでこのバランスが崩れると、腸内がアルカリ性に傾き、悪玉菌が増えてしまいます。

悪玉菌はウェルシュ菌やブドウ球菌、大腸菌があり、腸内を腐敗させ、有害物質やガスを作ります。悪玉菌が増えると便秘や下痢などお腹の調子が悪くなることがあります。

日和見菌は腸内細菌の約7割を占め、善玉菌が優勢なときは善玉菌の味方として腸内を整えますが、悪玉菌が増えると悪玉菌の側につき、腸内で腐敗を進めてしまうことがあります。つまり、腸内を良い状態に保つには、日和見菌を善玉菌の味方につけることが大切です。

 

 

透析患者さんは腸内環境が乱れやすい

透析を受けている方は、

・ 水分やカリウムの制限によって食物繊維が不足しやすい
・ 運動量の低下やリン吸着薬の服用により便秘になりやすい

・ 抗菌薬の使用で腸内細菌のバランスが崩れる

など、腸内環境が乱れやすい条件がそろっています。また、尿毒素が腸内細菌に悪影響を及ぼし、善玉菌の働きを弱めてしまうことも報告されています。こうした腸内環境の悪化(ディスバイオーシスといいます)は、免疫力の低下や感染症のリスク増大につながることがわかっています。

 

 

腸内環境を整えることの効果

腸の状態がよくなると、

・ 便秘や下痢の改善

・ 栄養の吸収効率の向上

・ 免疫バランスの安定化

・ 血糖コントロールやリン管理への好影響

・ 精神面の健康

・ 動脈硬化の予防

・ アレルギーの改善

・ 美肌効果

などさまざまな良い効果が期待できます。まさに「腸から始まる免疫力」、そして「腸活で感染症に負けない体づくり」が大切です。実際に、腸内環境を整えることで透析患者さんの血清リン値が改善したという報告もあります。腸は、腎臓と並ぶもうひとつの排泄器官。「残されたもうひとつの出口」として、腸を元気に保つことは透析治療においても大切なことです。

 

 

腸活のポイント

腸内環境を整えるには、毎日の生活が大切です。

・ 規則正しい生活を心がける

・ 十分な睡眠で自律神経のリズムを整える

・ ストレスをためない(休息や趣味でリフレッシュ)

・ 適度な運動で腸の動きを活発に

・ 身体を冷やさない(腸の働きが鈍くなります)

また、腸を元気に保つためには、「善玉菌を多く含む食品」と「善玉菌のエサになる食品」を一緒にとることが大切です。

次ページでは、管理栄養士が「腸内環境を整える食生活のポイント」について、わかりやすく紹介しています。ぜひご覧ください。

 

 

 

腸内環境を整える食生活のポイント        

管理栄養士 飛鷹佳枝

腸を整えると、「消化吸収がよくなる」「免疫力が高まる」「便通がよくなる」など、体に嬉しいことがたくさんあります。

そのカギをにぎるのが プロバイオティクスプレバイオティクスです。

1日3食バランスのよい食事を基本に、腸内環境を整える食品を加えていくことが効果的です。毎日少しずつ続けて、腸をいたわる食生活を心がけましょう。