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新春

皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。令和八年の新しい年が始まりました。これから寒さが厳しくなりますので、どうか体調管理に十分ご留意ください。さて、近年は社会や医療を取り巻く環境の変化が非常に速く、日々の判断や行動の在り方について考えさせられる場面が増えています。そのような折、私がよく思い起こす言葉に「飛耳長目(ひじちょうもく)」があります。これは幕末の思想家・吉田松陰が門下生に繰り返し説いた教えで、「遠くの出来事にも目と耳を向け、正確な情報を集め、それを将来の判断や行動に活かすことの大切さ」を意味しています。

多くの人が情報を共有し、意見を交わすことで、より良い選択や計画が可能になります。今年は私たちもこの姿勢を改めて大切にし、医療の現場に活かしていきたいと考えています。

少し個人的な話になりますが、私の名前「正行(まさゆき)」は、大阪・四條畷(しじょうなわて)神社の御祭神である楠木正行(くすのき まさつら)公に由来すると聞いています。正行公は、父・楠木正成公の教えを受け継ぎ、困難な状況にあっても正義と誠を貫いた武将として知られています。特に私の心に残っているのは、戦の最中であっても敵味方の区別なく人命を尊び、傷ついた敵兵を救い、手当てをして京都へ送り返したという逸話です。蛮勇が重んじられた時代にあって、このような博愛の精神を実践した姿勢は、後に日本に赤十字精神が根付く礎になったとも言われています。

医療に携わる者として、私は以前よりこの正行公の精神に深い感銘を受け、自らの名前を誇りに感じながら日々の医業に向き合ってまいりました。なお、出生届の際には、母の判断で「まさつら」ではなく、現在の「まさゆき」という読みで届け出たそうですが、その思いも含め、今の自分を形づくる大切な一部だと感じています。

今回の透析室ニュースでは「透析療法と心の問題」を特集しました。治療を続ける中で生じる不安やストレスと向き合うヒントとして、お役立ていただければ幸いです。また、例年ご好評をいただいております新春恒例のクロスワードパズルも掲載しております。ぜひ楽しみながらご参加いただき、新年のひとときをお過ごしください。

皆様にとって穏やかで実り多い一年となることを心よりお祈り申し上げます。

理事長  溝渕 正行

 

 

 

年頭のごあいさつ

新年あけましておめでとうございます。

令和8年1月を迎え、三島クリニックは1980年10月6日の開院以来、45周年という節目の年を迎えることができました。これもひとえに、長年にわたり当院を支えてくださった患者さん、御家族、そして地域の皆様のお力添えの賜物であり、心より感謝申し上げます。

 

 

 

当院はこれからも「当院透析患者の皆様に元気で長生きしていただく」ことを第一の目標に、質の高い透析医療を提供してまいります。しかし、どれほど医療が進歩し、医療従事者が努力を重ねても、それだけでは十分ではありません。患者さんご自身が医療者の助言に耳を傾け、治療に前向きに向き合っていただくことが、長生きへの何よりの近道であると感じています。残念ながら近年、透析療法に対する誤った理解に基づく、医学的に適切とは言えないご要望や、時に心ないお言葉を受けることもありますが、そのような場合、治療が円滑に進まず、良好な経過につながりにくいことも事実です。

また、昨今の社会全体では、政権交代を含め、令和8年6月以降の医療制度が大きく変化しようとする動きも見られます。そのような時代の中にあっても、医療の本質は「患者さん一人ひとりの健康と生活を守ること」に変わりはありません。一方で医療技術は着実に進歩しており、当院透析室においても、AIを搭載した心電図や聴診器、体液評価のための各種検査機器を導入し、より安全で質の高い透析医療の提供に努めております。

 

 

また、昨年後半からは、感染症診療の強化を目的として迅速PCR検査(スポットファイア)を導入し、感染症に対しても、より正確で迅速な診断と治療を行える体制を整えてまいりました。

さらに本年からは、以前開催しておりました三島クリニック講演会の再開も予定しております。年に一度、全国でご活躍されている著名な先生をお招きし、当院に通院されている透析患者さんのための講演会を開催する予定です。詳細が決まり次第、改めてご案内いたしますので、ぜひ楽しみにご参加いただければ幸いです。

 

 

 

私たちスタッフ一同は、これからも力を合わせ、皆様が安心して治療を受け、元気で長生きしていただけるよう、誠心誠意努めてまいります。透析治療に関することはもちろん、日常生活での体調の変化やお困りごとなど、どのようなことでも遠慮なくスタッフ・医師にご相談ください。

本年が、皆様お一人おひとりにとりまして、健康で穏やかな一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。

院長  溝渕 剛士

 

 

 

 

透析療法と心の問題~不安やストレスに負けない~

 

15年前(2011年)の透析室ニュースとよく似た内容となるのですが、「透析療法と心の問題」について考えてみたいと思います。

透析治療を長期に続けていくことはストレスの多いことで、誰でも心にダメージを受けます。

心とからだは密接な関係がありますから、体調を良く維持していくためには心のケアも必要です。そこで、「透析療法と心のケア」について、精神科医でご自身も40年余りに渡って透析を受けておられた春木繁一先生がお話になられていたことや、本にお書きになっている内容の一部をご紹介したいと思います。

 

春木先生は、「日本サイコネフロロジー学会」の設立・運営の中心として活動されました。「サイコネフロロジー」とは、腎臓病(特に透析患者さん)が抱える精神的・心理的・社会的な課題に対して、「こころ」と「からだ」の両面から支援し、治療を支え、患者さんが自分らしい生活を送ることを目指す学問分野・医療領域のことです。ちなみに、現在この学会の理事長は政金生人先生です。政金先生は、第15回三島クリニック講演会(2016年)においてご講演いただきました。

 

 

 

「いつか出口はある。心を晴らして、すっきりと明らめることが大切」

 

 

どんな病気でもそうですが、特に透析治療は、肉体的にも、経済的にも負担を強いられるものであり、精神的なダメージも同じように大きいのです。長い間、多くの患者さんと出会ってきましたが、やはりどなたでも最初は落ち込みます。それが普通です。

特に最近は、高齢になってから発病される方が多く、これからゆっくりと第二の人生を楽しもうという年代だけに、治療を始める時のショックは大きいです。ヤケになって、周りに当たってしまうこともあるでしょう。「あのときの手術が良くなかった」とか、「あの時、苦労させられたから」と他人を責めたくなる「他責」の期間があるんです。

他責の時期が過ぎると、「自責」の気持ちが出てきます。「自分が体をいたわらなかったからなぁ」と。そうしてやがては、「仕方がないな」という「あきらめ」の境地に入ります。この「あきらめ」が肝心なんです。

 

「あきらめる」と言うと、皆さん、「もうだめだ」と断念してしまうことだと考えるでしょう。「諦める」と書くと、そういう意味になります。でも、「明らめる」と書いて、「ものごとの事情や理由を明らかにする。心を明るくし気持ちを晴れやかにする」という意味があるんです。古語の「明きらむ」という言葉から来ているんですが…。

この「気持ちを晴れやかにする」というのが大事です。悔やんだり、後ろ向きに考えるあきらめではなく、「よし、病気と一緒に生きていこう」と自分の運命、人生を受け止めて、心をすっきりとさせることです。

もちろん、そういう気持ちになりなさいと言っても、自分で心を変えることは難しいことです。ただ、時間が経てば、そういう気分になっていけるし、心が変われば、体の調子だって変わっていくということは、知っておいて欲しいです。気力も体力も、やがて回復する時がきます。辛い時期を過ぎて、トンネルを抜けられる日が、きっと来ます。

 

 

「しゃくとり虫人生で行こう」

 

 

40~50歳代で透析に入った方はまずは次の5年を目標に人生設計を立ててみましょう。5年を過ぎたら次の5年、さらに次の5年と区切りながら過ごしていくのです。

今、この時点でのベストの目標を立てて過ごしていくうちに、いつのまにか10年、20年と月日が経っていくものです。このような過ごし方を“しゃくとり虫人生”と命名しています。老年期に入ったら、目標設定は小刻みにしましょう。1~2年くらいの期間はいかがでしょうか。

慢性腎不全という病気と長くつき合っていくコツは「日々是好日(にちにちこれこうじつ)」の精神をもって臨み、「治療」や「根治」という考え方ではなく、「共生」や「養生」と考えるのもよいでしょう。

 

 

 

「日々是好日(にちにちこれこうじつ)」とは、

「毎日が素晴らしい日である」という禅の言葉で、どんな日も二度とないかけがえのない一日として大切に生きること、

また、良い日も悪い日も、あるがままに受け入れ、その日を精一杯生き、その中に幸せを見出すことで、どんな日も「好日(良い日)」になるという深い教えです。

日々の暮らしの中に小さな幸せや楽しみを見つけ、前向きな気持ちで毎日を大切に、楽しく過ごしていきましょう。