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「新春」

皆さん 明けましておめでとうございます。寒い日が続く毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。

今年が始まってまだ2週間ほどしか経っていませんが、新型コロナウイルス(COVID-19)のオミクロン株がものすごい勢いで拡大し、またたく間に第6波の真っただ中に入ってしまいました。昨年末までの小康状態から国民全体(政府も含めて)の油断もあり、新年の大移動によって爆発的な感染拡大へとつながったものと考えられます。1日当たりの感染者数が1000人を超える都道府県が続出してきています。
オミクロン株の新型コロナウイルス感染は、デルタ株に比し、肺での増殖はそれ程ひどくないものの咽喉頭など上気道にて増殖し、空気感染的な感染をみせるので非常に他人にうつしやすいようです。オミクロン株による死亡も増加してきていますので、決して甘くみてはいけないようです。初心にかえって、3密の防止、手洗い・うがいの実施など基本的な感染防止をしっかりと行うしか予防方法はないようです。ぜひ予防を実行して体調には十分気をつけて下さい。
今回の透析室ニュースでは、多くの方が困ったことのある便秘とかゆみに対しての対策を特集してみました。これらを参考にしていただいてより良い透析ライフを送っていただきたいと思います。

理事長 溝渕 正行

 

かゆみの原因と対策

透析患者さんの約7割以上の方がかゆみを訴えられるといわれています。中等度以上のかゆみは不眠をもたらし、生活の質を損なうばかりか、かゆみの強さは生命予後に関係するという報告もあります。そのため、かゆみはきちんと治療することが大事です。

【かゆみの主な原因】

① 皮膚の乾燥 
乾燥した皮膚は外界からの刺激に対するバリア機能(防護壁機能)が低下するため、少しの刺激でもかゆみを感じるようになります。

② 血液中のカルシウム、リンの値が高い
カルシウムやリンが上がると、皮膚に沈着しかゆみが起きることがあります。また、過剰な副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌によってもかゆみが増強されます。血液検査でリンが高いときは、まずリンを下げる食事を実践しましょう。

③ 尿毒素の蓄積
かゆみの原因となる尿毒素ははっきりとは特定されていませんが、透析効率が悪いほどかゆみが出やすくなりますので、十分な透析をしっかり行うことがかゆみ対策の基本です。

④ 体内でのかゆみ刺激物質のバランス異常
体の中では、かゆみを起こす物質とかゆみを抑える物質のバランスによって、かゆみが起きたり和らいだりしています。そこで、通常の治療では効果がないかゆみがある患者さんには、かゆみに関係する体内物質のバランスを整える内服薬で治療します。

【かゆみ対策】

~スキンケアについて~
かゆみの一番の原因は皮膚の乾燥です。ここからは、かゆみ対策としてスキンケア(肌の手入れ)を中心にまとめます。
●ナイロンタオルは使わず、できるだけ刺激の少ない石鹸をよく泡立てて柔らかいタオルか手でやさしく洗う。
●石鹸を使いすぎない。そして石鹸をきれいにすすぐ。
●保湿剤入りの入浴剤を使うのも効果的。
(ただし、硫黄(いおう)成分を含んでいるものは乾燥を招くため避ける)
●掻いた時キズになりやすいので、爪ののび過ぎに注意する。
●肌触りのよい服を身に着ける。
(刺激が少なく汗を吸収しやすい木綿がおすすめ。ナイロンや化学繊維はかゆみを生じやすい。ウールは直接肌に触れないようにする)
●皮膚の乾燥を防ぐための軟膏やクリームは、入浴後や就寝前に毎日塗る。
(塗る量は『塗った後、ティッシュペーパーが張り付く程度』、というのが目安の一つ。塗り方で重要なのは、『優しく塗り広げる』こと。成分が吸収されると思って擦り込むと、肌に自ら刺激を与えてしまって、逆にかゆみを悪化させる原因になってしまう事が多い。)
●冬場は特に部屋の加湿を心がける。加湿器を使うか、室内に洗濯物や濡れたタオルを干すことでも加湿の効果がある。
●かゆい時はできるだけ掻かずに熱いタオルで清拭したり、冷たいタオルや氷のうで冷やすと和らぐことがある。
●シャント部や穿刺部などがかゆい場合は、氷のうなどで冷やす。透析中であれば、透析液の温度を下げることでかゆみが軽くなることがある。

イライラするとかゆみが増しますので、気分転換やリラックスをすることで掻きたい気持ちを紛らわせましょう。どうしても掻きたい時は、皮膚を傷つけないように掻いてください。掻いた後は、保湿剤やかゆみ止めを必ず塗りましょう。

かゆみに対しては、いろいろな外用薬や内服薬もありますし、透析条件の変更が必要な場合もあります。かゆみが出てきたら、お気軽にご相談ください。

 

便秘対策について

管理栄養士  神原 華奈

便秘は、維持透析患者さんの半数以上にみられると言われています。
便秘が続くとおなかが張って苦しくなったり、便中の毒素などのため吐き気や嘔吐、食欲低下(食欲不振)につながったりすることもあるため、早めに対処することが大切です。

便秘の原因は?

◆ 便秘になりやすい薬剤の服用
◆ カリウム制限による食物繊維の摂取不足
◆ 水分摂取制限
◆ 透析中の便意の抑制
◆ 運動不足・筋力の低下

食事や食生活を見直してみましょう。

● 3食きちんと食べる習慣をつけましょう。
朝食は毎日食べていますか?朝ごはんを食べる習慣こそ快便につながります。
● 規則正しい生活を心がけましょう。
朝食後は、便意の有無にかかわらずゆっくりとトイレに座る時間を習慣づけましょう。
● 腸内環境を整える善玉菌(乳酸菌など)を含む食品を利用しましょう。
味噌、ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、キムチ、チーズなど
* カリウムやリンが高い方は量や頻度に注意しましょう。
* ワーファリンを飲まれている方は、納豆は止めましょう。
● カリウム含有量が少なく食物繊維を多く含む食材を摂取しましょう。
藻類(めかぶなど)、こんにゃく、切り干し大根、豆製品、ごぼう、きのこ類など
* 野菜は水さらしや茹でこぼしを行いましょう。

食物繊維の上手なとり方

野菜に食物繊維が多いとはいえ、生野菜サラダばかりではカリウムの過剰摂取に繋がり、かさも多いため量がなかなかとれません。一度ゆでこぼし煮物やお浸しなどにすることで、カリウムもかさも減りたっぷりと食べられます。
● 適度な運動を行い運動習慣をつけましょう。
運動をしても問題なければ、ウォーキングや、ストレッチ、自転車など可能な運動を行いましょう。
● お腹のマッサージを行いましょう。
お腹に「の」の字を描くようにマッサージを行いましょう。

食物繊維には分類があるのを知っていますか?

『水溶性食物繊維』… 水分を含んでゲル状になり、便を出しやすい硬さにします。
(海藻・きのこ・果物など)

『不溶性食物繊維』… 便のかさを増し、排便のリズムを回復させます。
(芋・根菜・豆など)

食物繊維1日の目標量 (18歳~64歳)

男性 21g/日以上(65歳以上は20以上)
女性 18g/日以上(65歳以上は17以上)

上記のようにいろいろ工夫してもすっきりしない時は、最近開発された抗便秘剤を使ってみるのがいいと思います。