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「早春」

皆さん、体調はいかがでしょうか。急に寒さが厳しくなり冬らしい気候となってまいりました。どうか風邪などひかないように御注意ください。昨今では風邪をひかれたりしますと、新型コロナウイルスの感染との区別が困難なことがあり、PCR検査の実施が必要となるなど面倒なことになる場合がございます。
ここで風邪をひかないための工夫を以下に記させていただきます。
① 睡眠を十分にとる (暖かくしてしっかり休養する)
② 消化の良い食事をとり栄養をしっかりとりましょう (エネルギーの確保)
➂ 湿度に気をつける (空気が乾燥しているうえに暖房をする機会が増えるので室内の湿度を60%以上にして乾燥を防ぎウイルスの増殖を防ぐ)
④ 脱水に気をつける (水分の過剰摂取を気にするあまり、脱水を起こすと全身の
細胞の活性が弱くなりウイルス感染などに弱くなる)

新型コロナウイルス感染に関しましては、ただ今、日本では諸外国と異なり第5波の後緩解期に入っていますが、つい最近南アフリカ共和国で「オミクロン株」という新しい変異株が流行していることが発見されました。そしてその後またたく間に日本でも感染者が発見されました。今に世界中に広がり、日本にも多大な影響が及び、第6波への移行がないとは言いきれません。従いまして、どうか皆さん、日本国内では現在新規コロナウイルス感染が減少してはいますが、従来の感染予防三原則(マスクの着用、手洗い・うがい、ソーシャルディスタンスの確保など)を引き続きしっかり守っていただいて、第6波を防ぐとともに感染が広がり始めた場合への備えをしっかりしてまいりましょう。どうかよろしくお願いします。

今回の透析室ニュースでは、最近の定期検査でややコントロールが悪くなっている方の多い項目の中で、特に大切なリン、カリウムの数値が正常であることの重要性と、しっかりコントロールするためのコツについて説明をさせていただきました。参考にしていただいてリン、カリウムを正常範囲に保ち身体の健康を損なわないようにしてください。そしてしっかりこの寒さを乗り切ってまいりましょう。そしてコロナウイルスに感染しないように免疫力をつけましょう。

理事長 溝渕 正行

 

リンのコントロールはとても大切です

これまで何度もリンについてのお話をしてきましたので、「耳にたこができる」とおっしゃる方もいるかもしれません。しかし、新しく透析を始めた方もいらっしゃいますし、約5人に1人が基準値上限の6.0㎎/dlを超えているという現状がありますので、今回改めてリンについてまとめることにします。

リンが高いと血管や心臓に石灰が沈着します!

リンがなぜ悪者扱いになっているかというと、リンが高いと長生きができないことが分かっているからです。それは、からだの中に増えすぎたリンが,カルシウムと結晶を作り石灰となり,骨以外のからだのあちこちに沈着するからです。それを「異所性石灰化」といいます。
特に、心臓や血管の石灰化によって、心不全・心筋梗塞、脳出血、末梢循環障害による足の痛みや壊死(えし:血液の通わない部分の組織が死ぬこと)など非常に重大な合併症を引き起こします。
また、皮膚に石灰沈着がおきると,カサカサした乾燥肌になったり,激しい痒みに悩まされるようになります。
逆に言えば,リンを適正な値に保つことで、心血管系の病気になりにくくなって長生きすることができます。

リンが高くてもカリウムと違ってすぐには何の症状も出ません。しかし,リンが高い状態(高リン血症)が続くと,からだの中では徐々に石灰化(=動脈硬化)が進んできます。そして,症状が出た時にはもう元には戻れない非常に困った状態になっています。
今からでも遅くはありません。これまでリンが高かった人もこれからしっかりリン管理を心掛けていけば、血管石灰化の進行を抑えることができます。

透析前 血清リン値の目標値:3.5 ~ 6.0 mg/dl

リンを上げない食事について

「リンはどのような食事、食品に多く含まれているか」ということを知ることは、とても重要なことです。しかし、個別に覚えていくのは難しいことだと思いますので、一つ重要なポイントだけは守りましょう。それは、加工食品はできるだけ食べない ということです。
肉や魚、卵、豆類に含まれているリン(有機リン)は、腸管から体内に吸収される割合(吸収率)が20~60%であるのに対して、食品添加物として使用されているリン(無機リン)の吸収率は90%以上と高く、血清リン値が非常に上昇しやすくなります。
加工食品(ハム、ソーセージ、ベーコン、練り物、インスタント麺、プロセスチーズ、ファストフード)は添加物として無機リンが多く使用されています。加工食品を避けた食事をとり、リン吸着薬をしっかり服用することで、血液検査でのリンの値はかなり下がってきます。

その他 意外とリンが多い食べ物
● 乳製品(牛乳,ヨーグルトなど)
● 魚卵(いくら,たらこ),レバー
● 干物(しらす干し,ししゃも,丸干し など)
● 洋菓子(チョコレート、ケーキ、プリン、アイス など)
● 種子類(アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ など)
● 乾物(するめ、さきいか、ビーフジャーキー など)
これらの食品は、少なめにするよう注意しましょう。
リンの少ない食事については,管理栄養士にお気軽にご相談ください。

 

カリウムについて

管理栄養士  飛鷹 佳枝

大地震などいつ起こるかわからない災害に対し、備えはできているでしょうか。防災ブックを見直し、非常用持ち出し袋や備蓄食料を整えておきましょう。災害で透析が十分にできないような状況になると、特にカリウムに注意しなければなりません。透析患者さんのカリウムの摂取量は通常1日2000mg以下ですが、災害時は500~1000mg目安となります。普段から意識していると安心です。今一度、カリウムについて見直してみましょう。

気をつけるポイント

① エネルギー不足が続くと筋肉が分解されてカリウムが生成され、高カリウム血症が起こります。エネルギーを摂取しましょう。
② 肉・魚・卵・大豆製品・乳製品にもカリウムが含まれていますが、たんぱく質も多く含んでいます。不足すると体力や免疫力が低下します。多すぎず、少なすぎず、適量を食べるようにしましょう。

1日に食べる肉や魚の目安量

肉 60~80g 魚60~80g 卵1個 豆腐40g

③ 野菜はカリウムが多いです。目安量は1日250~300g。水さらし、ゆでこぼしで減らすことができますが、ゆでてもほとんど変化のないものは少量にしましょう。
ゆでてもカリウムが減らない → かぼちゃ、とうもろこし
水煮にしても多い → たけのこ・水煮
④ 芋類は1日80~100g目安に。特にさといもはカリウムが多いです。
⑤ 果物は1日50g目安に。カリウム含有量少なめのものを選びましょう。
⑥ 飲料のカリウムに気をつけましょう。
⑦ おやつにカリウムの多い物を食べていませんか。
⑧ 鍋物の汁には具材のカリウムが流れ出ていますので雑炊にしないでください。