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「初冬」

皆さん今日は。毎日寒い日が続きますが体調はよろしいでしょうか。
今年はラニーニャ現象が起こっているとの事で、日本では夏は極端に暑かったし、冬は厳しい寒さになるようです。このため体調管理には十分気をつけていただきたいと思います。
平成29年も残りわずかになりましたが、幸いまだインフルエンザの流行は発生せず、感染性胃腸炎(ノロウィルス胃腸炎を含む)も比較的少なくて済んでいるようです。しっかりとうがい、手洗をしてこれらの油断ならない大敵“感染症”をきっちり予防しましょう。
世間に目を向けますと、日本はいつ爆弾が飛んでくるかも知れない恐ろしい状態に置かれており、是非政府にはしっかりと安全に住めるような状態にしていただきたいものですね。また、相撲界でも暴力問題がとやかく言われています。やはり暴力は良くないので止めてほしいものです。平和な社会が一番ですね。
ところで話は変わりますが、寒くなると皆厚着をすることになります。そうなると透析を受けておられる皆さんはただでさえ痒くなりやすい状態に置かれている皮膚が一層痒くつらいものとなります。今回の透析室ニュースではどうすれば「かゆみ」を軽減できるのか、その対策についての話を特集してみましたので是非参考にして下さい。それと皆さんが元気で長生きをするためには筋肉を丈夫にしなくてはなりません。筋肉を丈夫にするには何が必要なのかについても考えていただきたいと思います。そのための栄養室からの提案もありますので参考にしてください。

理事長 溝渕 正行

 

かゆみの原因と対策

4年前の透析室ニュース54号でも取り上げましたが、今回も「かゆみの原因と対策」についてを特集としたいと思います。

透析患者さんの多くが、かゆみを訴えられます。
かゆみの主な原因としては次のようなものがあげられます。

【かゆみの主な原因】

①皮膚の乾燥

透析患者さんでは、汗を出す汗腺や皮脂を出す皮脂腺が萎縮(いしゅく)していて、皮膚に水分が少なく乾いてカサカサになっている人が多く、それがかゆみの大きな原因になっています。
乾燥した皮膚は外界からの刺激に対するバリア機能(防護壁機能)が低下するため、少しの刺激でもかゆみを感じるようになるからです。

②血液中のカルシウム、リンの値が高い

カルシウムやリンが上がると、これらが皮膚に沈着し、それによって頑固なかゆみが起きることがあります。また副甲状腺機能亢進症による過剰な副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌によってもかゆみが増強されます。
心臓や血管を守るためにリンのコントロールの重要性については繰り返しお話ししてきましたが、かゆみ対策としてもリンを下げることが大事なのです。「最近かゆくなってきたな」と思ったら、検査データのカルシウムやリン、そしてカルシウム・リン積(Ca×P)の値をよく見てください。そして、それらが高いようであれば、まずそれに対する対策(低リン食など)をとることが治療の第一歩です。

③尿毒素の蓄積

かゆみの原因となる尿毒素がなんであるかははっきりとは特定されていませんが、透析効率が悪いほどかゆみが出やすくなりますので、十分な透析がかゆみ対策の基本です。

④体内でのかゆみ刺激物質のバランス異常

私達の体の中では、かゆみを起こす物質とかゆみを抑える物質が作られています。この二つの体内物質のバランスによってかゆみが起きたり和らいだりしています。ですから、バランスが崩れかゆみを起こす物質が増えるとかゆみが出てきます。
そこで、通常の治療では効果がないかゆみがある患者さんには、かゆみに関係する体内物質のバランスを整える内服薬(レミッチ)で治療します。

【かゆみ対策】

~スキンケアについて~
かゆみは先に説明したような原因が複雑に関与しあって強いかゆみになっています。このうち、からだの外からの刺激に対しては日頃から気をつけていれば予防できることが多くあります。ここからは、かゆみ対策としてスキンケア(肌の手入れ)を中心にまとめてみます。

スキンケアのポイントは 「皮膚を清潔に保つこと、皮膚の乾燥を防ぐこと」 です。
特に、皮膚の乾燥はかゆみの一番の原因になります。これからの季節は空気が乾燥しますので、それに伴って皮膚も乾燥しやすくなります。御注意ください。

  • シャワー、入浴で皮膚の清潔を心がける。(皮膚が汚れているとかゆみの原因になる)
  • 入浴の時、一番風呂や熱めの湯には入らない。
  • ナイロンタオルは使わず、石鹸をよく泡立てて柔らかいタオルでやさしく洗う。
    (できるだけ刺激の少ない石鹸を使い、洗った後は石鹸をきれいにすすぐ。石鹸は油分を取り除くため、あまり多く使用すると乾燥しやすくなるので注意)
  • 保湿剤入りの入浴剤を使うのも効果的。
    (ただし、硫黄(いおう)成分を含んでいるものは乾燥を招くため避ける)
  • 爪がのび過ぎていると、掻いた時キズになりやすいので、爪ののび過ぎに注意する。
  • チクチクする肌着はさける。
    (刺激が少なく汗を吸収しやすい木綿がおすすめ。ナイロンや化学繊維はかゆみを生じやすい。ウールは直接肌に触れないようにする)
  • 皮膚の乾燥を防ぐための軟膏やクリームは、入浴後や就寝前に毎日塗る。
  • 暖房や強い日差しに注意する。
  • 特に乾燥しやすい冬先から春にかけては、加湿器などを利用してこまめに保湿ケアする。
    (部屋の湿度は60%程度が適当)
    十分な睡眠をとる。(十分な睡眠は皮膚の新陳代謝を促す)
  • かゆい時はできるだけ掻かずに熱いタオルで清拭したり、冷たいタオルや氷のうで冷やすと和らぐことがある。
    (特にシャント部や穿刺部は掻かないように気をつける。かゆいところを掻き過ぎると皮膚が傷ついてしまい、より小さな刺激にもかゆみが起こりやすいという悪循環になる。どうしても掻く時は爪の背側で掻く、軽くたたく、さする、服の上から掻くなどの皮膚を傷つけない掻き方でかゆみを和らげる)

今現在明らかなかゆみがなくても日頃から、ぜひスキンケアに取り組んでください。透析患者さんの皮膚は薄く、皮膚表面はアルカリ性に傾いていることが多く、皮膚を守る力が低下しているといわれています。日常のスキンケアには弱酸性のクリーム・ローション(例えば、キュレル:花王)がお勧めです。

かゆみに対して、自分で判断してむやみに薬をぬり、間違った治療をすると悪化することがあります。かゆみが出てきたら、お気軽にご相談ください。

 

動いて食べて ~サルコペニア予防~

管理栄養士 飛鷹 佳枝

サルコペニアとは?

サルコ(筋肉)とぺニア(減少)からなるギリシャ語の造語です。筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下した状態をいいます。

簡単なチェック法 [指輪っか試験]
両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの最も太い部分を囲むことで、評価します。
「囲めない」、「ちょうど囲める」、「すき間ができる」の順にサルコペニアの可能性が高まります。

サルコペニアを放っておくとどうなるのでしょう

少しの距離を歩くだけで疲れたり、階段を上り下りするのも一苦労したりします。
転倒による骨折、感染症、動脈硬化などのリスクが高まることが知られています。

サルコペニア肥満
サルコペニアと肥満が同時に起こることをサルコペニア肥満といい、転倒などのリスクがさらに増加します。
中年期におけるメタボリックシンドロームに対し、食事療法のみで対処し運動量が不十分だった場合や、先にサルコペニアを合併した高齢者が運動不足によって肥満に陥ったケースでなることが多いと考えられています。運動と栄養は併用することが大切です。

予防と改善には運動と栄養

運動不足ではありませんか?
豊かで便利な現代社会では日常生活で体を動かす機会が減っています。
透析によりベッド上で過ごす時間が長いため活動量が低下しがちです。

運動をするとよいことがたくさんあります

食事がおいしい! 汗をかいて爽快! よく眠れる! 体力がつく! 便秘解消!

家事や歩くことも立派な運動です
庭いじりや掃除、買い物など日常的に体を動かしましょう。
ウォーキングなど屋外で気持ちよく体を動かしましょう。
*運動は医師と相談し、許可を得てから始めましょう。

毎日の食事がとても大事です
欠食をしない(1日に必要な栄養が不足します)
規則正しい時間に(胃腸の働きが整います)
主食をきちんと食べましょう(ご飯、パン、めん類はエネルギー源です)
おかずは主菜(肉、魚、卵、大豆製品)と副菜(野菜中心)をバランスよく食べましょう。

BCAA(分岐鎖アミノ酸)は筋肉を作ったり修復したりする栄養素です
バリン、ロイシン、イソロイシンという3つの必須アミノ酸をBCAAといいます。
なかでもロイシン高配合の必須アミノ酸がより効果的であるとされています。
BCAAを含む食品(マグロやカツオなどの赤身魚、肉、卵、大豆製品)を過不足なく摂りましょう。
運動後はできるだけ早く30分以内に栄養補給すると、より効率的に筋肉を作ることができます。
手軽に補給できる栄養補助食品もあります。医師、透析スタッフ、栄養士にご相談ください。

*サルコペニア予防は、若々しく元気に長生きするための秘訣です。