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「厳冬」

ハンガリー(ブダペスト)の国会議事堂
(ドナウ川ナイトクルーズにて撮影)

ここにきて毎日厳しい寒さが続いています。今年の冬は例年以上だという長期予報もあります。宇摩地区でもインフルエンザやノロウィルスがぼつぼつ発生し流行の兆しをみせてきています。年末はいろいろと慌しい時期ではありますが、どうか体調には十分気をつけていただきましてこの寒さを克服して来るべき新しい年をお迎えいただきたいと思います。
寒くなりますと夏のようには汗が出なくなってしまいます。そうしますと飲水は透析患者さんではどうしてもそのまま体重増加につながってしまいます。ここへ塩辛いお正月料理を食べますと喉が渇きいっそう水が恋しくなってしまって水が増えてしまいます。今回はこのあたりをどう工夫したらよいのかについてのお話をしてみたいと思います。また、寒くなると厚着をしてしまい身体がかゆくなってきやすいものです。もともと透析患者さんは腎不全のためにかゆくなりやすい原因が他にもありますので、少しでもかゆくならないようにはどうすればよいかなどについても後ほど触れてみたいと思います。これらを参考にしていただいて快適な“こたつライフ”を過ごして下さい。
また、例年通りこの号では巻末にお楽しみクイズを出させていただきますので、どしどし御応募下さい。

理事長 溝渕 正行

 

体重増加の多い(水分が増えすぎる)人のために(Ⅰ)

管理栄養士 高石 美由紀

水分量を守るためには、塩分をコントロール(上手に制限)することが大切です。
塩分をとると、のどが渇いて自然に水が飲みたくなります。
食事においては、まず、塩分の摂取を減らしましょう。

<塩分を減らすための工夫>

①どの料理にも塩味をつけるのではなく、1~2品に集中して使い、味にメリハリをつけましょう。
②新鮮な食材を選び、素材そのものの味を楽しみましょう。
③肉や魚にほどよい焦げ目をつけると、それが塩分として感じられます。香ばしさをだし、調味料の塩分を控えめにしましょう。
④レモンや酢、こしょうやわさび、しょうが、にんにく、ねぎ、カレー粉、辛子などを利用しましょう。
⑤塩分の多いかまぼこやちくわ、ハムやベーコンなどの加工食品はできるだけ控えめにしましょう。
⑥上手に油を利用しましょう。揚げ物は、塩を使った下味を控え、かけるソースやしょうゆも少量にすれば、比較的塩分の少ない料理です。
⑦しょうゆやソースなどは、かけるのではなくつけて食べましょう。まずは一口食べて、たりないときだけしょうゆなどを使いましょう。
⑧外食では、寿司飯や丼類を控えて、ご飯に塩分のない定食を選びましょう。また、漬物や汁物も控えましょう。

水分には、飲む水分以外に、食事の中の水分もあります。
頑張って飲む水分は制限しているのに、体重が増えてしまうときは、食事の中の水分が多すぎるのかもしれません。

食事の水分については次のことに気を付けてみてください。

①水分の多いおかずの時は主食をパンやもちなどに変える。
②めん類は少量のつけ汁で食べ、汁は飲まないようにしましょう。
③めん類やカレー、鍋物等水分の多い料理は透析が2日開く日は避けましょう。また、朝昼夕で重ねないようにしましょう。
④重量があり水分が多い食品(果物、缶詰、おろし大根、こんにゃく、豆腐など)の食べすぎに気をつけましょう。決められた1日量を守りましょう。
⑤豆腐はよく水を切って調理しましょう。
⑥やわらかいごはんやお粥、雑炊などを食べすぎないようにしましょう。どうしてもお粥でないと食べられないときは、食事の時のお茶の量をその分減らしましょう。

食事療法を長く続けていくには、ストレスをためないことが大切です。楽しみもとりいれながら、自分のできることから1つずつ始めてみましょう。

 

かゆみの原因と対策

透析患者様の多くが、かゆみを訴えられます。特に夜間や透析中にかゆみが強くなります。
かゆみの原因を大きく分けると、からだの外からの刺激、あるいはからだの内からの刺激によって起こります。具体的には次のようなものです。

【かゆみの主な原因】

① 皮膚の乾燥
透析患者さんのでは、汗を出す汗腺や皮脂を出す皮脂腺が萎縮していて、皮膚に水分が少なく乾いてカサカサになっている人が多く、それがかゆみの大きな原因になっています。
② 血液中のカルシウム、リンの値が高い
カルシウムやリンが上がると、これらが皮膚に沈着し、それによって頑固なかゆみが起きることがよくあります。また副甲状腺機能亢進症による過剰な副甲状腺ホルモン(PTH)分泌によってもかゆみが増強されます。心臓や血管を守るためにリンのコントロールの重要性については繰り返し説明してきましたが、かゆみ対策としてもリンを下げることが大事なのです。「最近かゆくなってきたな」と思ったら、検査データのカルシウムやリン、そしてカルシウム・リン積(Ca×P)の値をよく見てください。そして、それらが高いようであれば、まずそれに対する対策をとることが治療の第一歩です。
③ 尿毒素の蓄積
かゆみの原因となる尿毒素がなんであるかははっきりとは特定されていませんが、透析効率が悪いほどかゆみが出やすくなりますので、十分な透析がかゆみ対策の基本です。

【かゆみ対策】

~スキンケアについて~
かゆみは先に説明したような原因が複雑に関与しあって強いかゆみになっています。このうち、からだの外からの刺激に対しては日頃から気をつけていれば予防できることが多くあります。ここでは、かゆみ対策としてスキンケア(肌の手入れ)を中心にまとめてみます。

スキンケアのポイントは
皮膚を清潔に保つこと、皮膚の乾燥を防ぐこと です。
特に、皮膚の乾燥はかゆみの一番の原因になります。これからの季節は空気が乾燥しますので、それに伴って皮膚も乾燥しやすくなります。御注意ください。

  • シャワー、入浴で皮膚の清潔を心がける。
  • 入浴の時、一番風呂や熱めの湯には入らない。
  • からだを洗い過ぎない。またこすり過ぎない。
  • ナイロンタオルは使わず、柔らかいタオルでやさしく洗う。
  • 石鹸を使いすぎない。(石鹸は油分を取り除くため、あまり多く使用すると、乾燥しやすくなる。)できるだけ刺激の少ない石鹸を使う。そして石鹸をきれいにすすぐ。
  • 保湿剤入りの入浴剤を使うのも効果的。ただし、硫黄(いおう)成分を含んでいるものは乾燥を招くため避ける。
  • 皮膚の乾燥を防ぐための軟膏やクリームは、入浴後や就寝前に毎日塗る。(軟膏やクリームは、かゆみのある部分を中心に、広めに・薄く・すり込むようにのばす。)
  • 爪がのび過ぎていると、掻いた時キズになりやすいので、爪ののび過ぎに注意する。
  • シャント部や穿刺部などがかゆい場合は、氷のうなどで冷やす。透析中は透析液温度を低めにするとかゆみが軽減することがある。
  • チクチクする肌着はさける。(刺激が少なく汗を吸収しやすい木綿がおすすめ。ナイロンや化学繊維はかゆみを生じやすい。ウールは直接肌に触れないようにする。)
  • 暖房や強い日差しに注意する。特に乾燥しやすい冬先から春にかけては、加湿器などを利用してこまめに保湿ケアする。(部屋の湿度は60%程度が適当)
  • 十分な睡眠をとる。(十分な睡眠は皮膚の新陳代謝を促す。)

かゆみを防ぐために、ぜひスキンケアに取り組んでいただきたいと思います。
かゆみに対して、自分で判断してむやみに薬をぬり、間違った治療をすると悪化することがあります。かゆみが出てきたら、お気軽にご相談ください。

 

患者様からの投稿

「透析3年半を過ぎて」 星加(透析歴 3年6カ月)

三島クリニックにお世話になるきっかけは、10数年前に住友別子病院の糖尿病入院で知り合った人からの電話でした。昨年24年9月のその日は透析日で、透析が終わって昼食に向かっていた時でした。「今、三島クリニックで説明会をしている。院長先生に会えるから、今直ぐ来んかい!私は、先に行って待っとる」と言って電話が切れました。透析の悩みがあった私は昼食も取らず、三島クリニックに直行し、友人の手招きで建て替えられた直後の透析センターに入りました。中に入って、私は、まず、1人1人の名前入りの履物入れが設置されている事に、院長先生の患者への思いが伝わってきました。そして、廊下から天井、綺麗なクリニックに驚きながら前に進んで行くと院長先生がおられ、透析室の事や、透析の方法等のお話しと、私が、某医院で、数ヶ月前から透析中血圧が低下し、その度嘔吐し腹痛が起こり、帰宅しても腹痛がおさまらず痛み止めの薬を二三回飲んでやっと治まる事をお話しすると、「何か起こった時、話し合いながら診ていきましょう」と引き受けて下さり、三島クリニックにお世話になる事にしました。
お世話になって一年半くらいオンラインHDFでスムーズにいけていたのに、ここ一ヶ月半くらい前から、また、血圧低下と便秘もしていないのに、お腹が張る症状が出てきて、現在は、透析方法を変えて試して下さっています。本当に心強く心より感謝しております。また、透析センターのトイレの設備は男女別々で二室ずつあり、なかなかここまでゆき届いた透析センターは無いと何時も使用させていただく度感謝しております。
忘れてはいけない大切な方々にお礼と感謝を述べさせて頂きます。昼食の献立を立てて下さっている栄養士さんと厨房の皆様、いつも栄養のバランスの良い真心のこもった美味しいお食事を提供して頂きまして本当にありがとうございます。どれほど透析中の食事が楽しみかというと、こんなことがありました。昼食中、あるベッドの患者さんに<家政婦は見た>の様に覗かれてしまったのです。私の秘密を……それは、ご飯を一粒も残すまいとして器に一粒こびり付いたご飯を、お箸で必死にはさもうと奮闘しているところを覗かれてしまったのです。(笑)
最後に、私事ですが、ここまで幸せに生きてこられたのは、娘の助けがあったお陰です。医師から透析と言われる前に、私の最愛の母を脳梗塞で亡くしました。娘は、7年半、24時間起きていると言ってもいい程、母の介護をしてくれました。食事を作って二時間もかけて食べさせ、間でオヤツも食べさせ、オシメを一時間に何回も変えたり、体調が悪くなると車に乗せて病院迄連れて行き、入院になると先生に疑問な事や改善して欲しい事をお願いに行ってくれたりと一生懸命頑張ってくれました。病状も段々と悪くなり、食事は胃瘻チューブからとなり、最後は自力で呼吸が出来ず気管切開をしました。苦しい思いをさせたくない一心で、吸引機で痰等を24時間絶えず気にしていました。
母は、病で倒れてから息を引き取る二日前までニコニコ笑顔で居てくれました。死期をさとった母は、今まで見たことのない笑顔で私を見てくれました。「この笑顔は一体どうしたんだろう。」と不思議に思っていたのですが、亡くなって初めて私にお礼を言ってくれたのだと分かりました。母に最後まで笑顔でいてもらえたのは、娘が心から真心のこもった優しい笑顔で入退院を繰り返した母に何時も付き添い、安心感を持たせてくれたおかげだと感謝しています。娘にしてやれることと言えば、できる範囲で自分のことは自分でやり、少しでも元気で長生きをして娘のやりたい事を応援してやることです。
また、明日からの透析を頑張ります。透析室の皆様、どうか、末長くよろしくお願い致します。