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「晩秋~初冬」

随分寒くなってまいりましたが、皆様風邪などひかずに御元気でしょうか。体調はいかがでしょうか。今年は日本の素晴らしい気候の特徴である四季の変化がはっきりせず、いつの間にか夏から冬に移り法皇山脈もすでに一時雪化粧をするなどきわめて不規則な気候となっています。竜巻の発生や巨大な台風の発生などと併せてやはり地球温暖化の影響なのでしょうか。人類全体で最近の生活を反省し、その原因と対策についてもう一度考え直さなければならないのではないでしょうか。
政治の面では来年4月からの消費税アップが国会にて議決され、今後の物価の変動など国民の生活にどのような影響が出てくるのか心配です。今からその時に向け私達なりの準備をしていかなくてはならないと思います。大事な医療への悪影響が出なければいいがと心配でなりません。
今年の当院の透析室を振り返ってみますと、透析液を変更し(Ca濃度を調整)、なるべく皆様方の透析ライフがより良い方向、つまり血圧や血糖が安定し副甲状腺が活発にならないような方向に向かうように工夫をしました。また、ダイアライザーの見直しにてアミロイドーシスなどの合併症の原因となるβ2-ミクログロブリンなどのより大きな分子量が除去できるように、更に数年前より当院で実施しているオンラインHDF(血液透析濾過)や間歇補充型HDFなどの透析方法を患者さん個人個人の状態に応じてうまく組み合わせて、血液透析治療が皆様方の身体に与える負担をより軽減できるような配慮もしてまいりました。ただ、このような全国的にも最先端をゆく上質の治療も皆様方のしっかりした自己管理があって初めて成果が上がり有効になるということは言うまでもありません。しっかりと自己管理をお願い致します。
今月号は久しぶりの発刊ですので食事療法の話、体力作りについてなど盛り沢山の内容となっています。大いに参考になさって下さい。
最後にどうか体調に充分気をつけて1年を締めくくって下さい。

理事長 溝渕 正行

 

食欲のない人のために

管理栄養士 高石 美由紀

食欲がなくてあまり食べないまま透析を続けていると,栄養状態が非常に悪くなり体もだんだん痩せてきます。栄養状態をよくして体力をつけるには「しっかり食べる」ことが大切です。

  • 食欲がないときは、まずは、食べたいものを食べてみましょう。
  • 料理の味を少し濃いめにし、酢やかんきつ類(レモンやゆずなど)の酸味、さらに香辛料(こしょうやカレー粉や生姜など)やかおりの強い野菜(青しそやねぎなど)を利用し、おいしい料理をつくりましょう。
  • 見た目を少し豪華にすると食欲もわきます。盛り付けや、食器の選び方も工夫してみましょう。
  • 食欲のないときは、栄養価の高いものから食べましょう。
  • 食事の始めに、お茶や汁物を飲むと、量がたべられなくなります。
  • 食欲のない時は、まずおかず、それもメイン料理から食べはじめましょう。
  • 食欲がなく、栄養不足のときは、おやつ(間食)に、たんぱく質を多く含んだものやカロリーのとれるものなど、栄養価の高いものをとりましょう。

<食欲不振・栄養不足のときにおすすめのおやつ>

  • カステラ
  • バニラアイス
  • ババロア
  • プリン
  • ホットケーキ
  • 蒸しパン
  • ヨーグルト
  • 水ようかん
  • 桃の缶詰

これらは口当たりも良く食欲のない時でも食べやすいものです。

食事の量が不足し、栄養不足が心配されるときは、治療用特殊食品を利用する方法もあります。医師、透析スタッフ、栄養士にご相談ください。

 

透析室スタッフからの投稿

「勤務を始めて半年が過ぎて」 臨床工学技士 大西 雄飛

私が三島外科胃腸クリニックに勤務し始めて半年が経過しました。大学を卒業したばかりの私は期待と不安で胸がいっぱいでした。「ちゃんと仕事ができるのか」「スタッフの皆さんや患者さんたちに迷惑をかけないか」などいろいろなことを考えてしまいました。しかしそんな心配はすぐになくなりました。知識や技術はまだまだ未熟ですが、先輩方や患者さん方はとても優しく頼りになると思ったからです。
実際こんなことがありました。私の穿刺ミスで患者さんの透析終了時間が延びてしまい、私1人ではどうしようもないと思い、代わりのスタッフに応援を求め交代してもらいました。患者さんにもスタッフにも迷惑をかけてしまったと責任を感じ、落ち込んでしまいましたが患者さんから「気にしなくていいよ」と声を掛けていただき、励ましてもらいました。またスタッフからも私を責めるのではなく「よく申告してくれた。あとはやっておく。」と優しくフォローしてくれました。そのとき私は自分の未熟さに腹が立ちましたが、それと同時に先輩スタッフのように、優しくて頼りがいのある臨床工学技士になりたいとも思いました。
私はその次の透析日に患者さんにもう一度謝罪に行きました。そして何日か時間を空けてもう一度透析開始をしに行きました。患者さんは快く迎え入れてくれました。今度は穿刺も成功し安心していると「上手になった」と患者さんから褒めてもらうことができました。私はとても嬉しく思い、患者さんに感謝しました。こういうことから私は,透析はスタッフの力だけで成り立っているものではなく、患者さんの協力があって初めて透析が出来るのだと強く感じました。協力していただくためにも自ら積極的に声を掛け、信頼を築くことが大切だと思います。日々の挨拶やコミュニケーションなどしっかりやっていきたいと思います。
この考え方は半年たった今でも、そしてこれから先もずっと大切にしていきたいと思います。最後にこれからも私は透析に携わっていることを自覚し、日々精進しながら皆さんの力になれればと思います。

 

患者様からの投稿

「これからの目標」 森實 美佐子 (透析歴 9カ月)

10月の終わりの日曜日,久しぶりに家族で四国最西端にある佐田岬へ行ってきました。お天気にも恵まれ暖かい日でしたので高速を一つ前の伊予インターで降り海岸線を走り海を眺めながら佐田岬近くの駐車場に着きました。車を降りると主人が「ここから先は,三キロ位歩かないと灯台まで行けないから・・」私は,車で灯台まで行けると思っていたのでガッカリしましたが天気が良かったので頑張って歩いてみようという気持ちになり歩き始めました。最初は下り坂,楽チン楽チン家族四人の中で先頭を切ってハミングしながら歩いていましたが,少し歩くと恐怖の登り坂その上デコボコ石の階段だから三年間腎不全保存期で仕事も辞め家でゴロゴロしていた私の筋肉がいうこときかないのです。心臓はバクバクするしハァハァ息を切らしながら歩いていると目の前に白い灯台が観えました。でもその灯台へ登るには,まだ何十段もある階段を登らないと辿りつかないのです。えーいここまで来たんだから後少し頑張って歩くと決め登り始めると片手を娘が繋いで一緒に登ってくれ,やっとこさ灯台に着き向こうに広がる景色を眺めました。快晴の青空・青い海・遠くに観えるのは九州の大分県,家族で久しぶりに写真を撮りました。
私は今から三年前まで正社員としてバリバリ仕事をしながら家事や子育てに忙しいながらも充実した毎日を過ごしていました。そんなある日の検診で腎臓の検査に異常が見つかり腎臓内科を受診し,先生から「将来は人工透析ですね」と言われたときには,落ち込み前を向いて進むことが出来ず,仕事も辞め一日中家に閉じこもり話す人といえば家族だけ,以前は仲良しのママ友とランチに行ったり趣味のトールペイントを習ったりして楽しんでいたのに,どこへも行きたくないし誰とも会いたくない・・・。そんな気持ちで三年が過ぎ食事療法にも正直疲れていました。蛋白質や塩分・カリウム・リンの制限,制限するだけなら簡単だけれど栄養も摂取しないと栄養失調になるし,色々勉強して頑張って作っていましたが体重が三年間で8kgも減り気力も体力も限界になってきた頃腎機能が低下しシャントを造り透析を始める事になりました。
その頃の私は以前と違い透析に前向きで「質の良い透析」についてインターネットや本を読み調べてみると長時間・高血流・HDF(誰でも良いわけではないみたいです)。でも,長時間透析やHDFを希望しても断わられる施設が多いと透析患者さんのブログを読んで知りました。でもこちらの施設では,快く承諾してくださり今年1月から透析を開始し5月から6時間・血流250・HDFで頑張っています。
透析を始めてから身体も楽になり食欲モリモリ,ウォーキングだって30分(サボる時もありますが)出来るようになりました。三年前は誰にも会いたくない症候群だった私が今では,友達とランチに出かけおしゃべりしたり映画を観たり家族と近場だけれど出かけられるようになったのも,質の良い透析を提供してくださるこちらの施設の御蔭だと感謝しています。そして,佐 田岬へ行った時私の手を引いて一緒に階段を登ってくれた下の娘の花嫁姿や孫の顔も見たいから,まだまだ長生きしたい,これがこれからの私の目標です。

 

研究発表について

今年,当院では学会・研究会において10演題の発表を行いました。

第58回日本透析医学会学術集会  2013年6月20日~23日開催
演題 オンラインHDFによる透析効率及び 栄養指標の変化についての検討
発表者 野村 祐介(臨床工学技士)

演題 HD02とTR-3000MAによる実血流量測定に関する検討
発表者 吉川 基樹(看護師)

 

第24回愛媛人工透析研究会    2013年8月31日開催
演題 透析液排液採取法の検討 ~シリンジ連続抽出法(CSEM)の有用性~
発表者 野村 祐介

演題 「貧血管理表」の作成
発表者 吉川 基樹

第47回四国透析療法研究会    2013年10月6日開催
演題 糖尿病透析患者のヘモグロビンAlc値とグリコアルブミン値に関する検討
発表者 吉川 基樹

演題 高齢透析患者における栄養評価  ~GNRIを中心としての検討~
発表者 守屋 美佳(管理栄養士)

演題 キンダリー4E(Ca2+濃度2.75mEq/L)に変更前後の
各種検査値の変化についての検討
発表者 吉川 基樹

演題 維持透析患者における腹部大動脈石灰化指数(ACI)についての検討
発表者 野村 祐介

演題 リン除去の検討
発表者 野村 祐介

第1回愛媛臨床工学技士会学術大会  2013年11月24日開催
演題 リン除去の検討(第2報)
発表者 井上 徹也(臨床工学技士)