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透析室ニュース
第50号 平成24年12月25日発行
「師走」
撮影日:平成24年12月23日
平成24年も年末を迎え,衆議院選挙も終わり急にあわただしくなり毎日寒い日が続いています。法皇の山並みも頂上付近はうっすら雪化粧となり,眺めただけでも身震いしそうです。 気温が下がってきますとインフルエンザや感染性胃腸炎(ノロウィルスを含む)が大変流行しやすくなります。すでに国内でも一部の地域で死者も出てきていますので,どうか皆様,うがいや手洗いを十分に行って予防に努めていただきますようお願いいたします。
今回の特集は,透析療法を受けておられるかなりの人々が日常悩まされたことがある便秘についてでございます。便秘になぜなりやすいのか,便秘になったらどうしたらよいか,について解説をさせていただきます。また,最近の検査でカリウムが高い人が少し増えてきたような印象もありますので,今一度カリウムを上げないための工夫についても言及してみたいと思いますので御一読下さい。
理事長 溝渕 正行
便秘で悩まないために
便秘は腸の動きが悪い時や,大腸での水分吸収が過剰になるとおこります。
多くの透析患者さんが,便秘に悩まされています。
なぜなのでしょうか?
便秘の原因
1.食物繊維の不足
食物繊維は便の材料になったり腸を刺激するなど,便通を良くする働きを持っています。しかし,透析患者さんではカリウム制限のため野菜や果物などの食物繊維を十分にとることができず,これが便秘の一番の原因になっています。
2.飲水制限
一日の飲水量が制限されていることも便秘の一因だと言われています。
3.腸内細菌のバランスの乱れ
腸内にはビフィズス菌をはじめとして種々の細菌がバランスよく生息しています。透析患者さんはこのバランスが崩れており,腸の働きが低下しやすくなっています。
4.糖尿病の合併
糖尿病を合併すると神経障害を引き起こし,腸の働きにも影響して便秘になることがあります。
5.カリウムやリンを低下させる薬の副作用
カリウムやリンを下げる薬の副作用で便秘が引き起こされることがあります。
6.その他の原因
- 朝,時間がなくてトイレに行くのをがまんしてしまう。
- 不規則な生活・食事
- 食事量が極端に少ない。
- 運動不足
- 仕事などのストレス
などが便秘の原因になります。
便秘を治すポイント
Ⅰ.食生活を改善しよう
☆食物繊維を多くとる
食物繊維が豊富な野菜にはカリウムも多く含まれる傾向がありますが,調理の仕方によってカリウムを減らすことができます。ゆでたり,流水にさらしたりするなどの工夫をして少しでも多くの食物繊維を摂取するよう心がけてください。
食物繊維の特に多い食品には,おから,キノコ類,海藻類(わかめ,ひじき)などがあります。ただしこれらはカリウムの含有量もやや多いので,少量ずつとるようにしましょう。
(干ししいたけと乾燥わかめの戻し汁は,カリウムが多く含まれているので料理に使わないでください。)
カリウムを減らして食物繊維をとる食事作りについては,管理栄養士にお気軽にご相談ください。
☆規則正しい時間に食事をとるよう心がける
特に,朝食は腸を刺激して便を出しやすくしてくれますので,しっかりと食べましょう。
また,起きてすぐに冷たい飲み物を少量飲むことも効果があります。そして,規則的な排便習慣をつけることが大切です。
☆香辛料や酸味類,油脂を適度に使う
適度の香辛料や酸味,油脂は腸を刺激して便を出しやすくしてくれます。
Ⅱ.適度な運動とマッサージで腸に刺激を!
腹筋が弱いと,便を押し出す力が低下してしまいます。適度な運動を心がけましょう。
また,時計方向へのおなかのマッサージも効果的です。
【内容の一部は,「透析患者さんのための便秘対策ハンドブック」日研化学(現興和創薬)提供 を参考にさせていただきました。】
便秘対策のための補助食品のご紹介
管理栄養士 高石 美由紀
セルリーハイ
- 8粒でレタス約1個分の食物繊維を含みます。
- カリウム、マグネシウム、リンは含まれていません。
とおりあめ(食物繊維入りあめ)
- 食物繊維が1粒当たり約1.8g含まれています。
- 市販のあめに比べてエネルギーを約60%低減。
- 糖類ゼロでさわやかなレモン味でのどの渇きをいやします。
ビフィズス菌HD
- ビフィズス菌をカプセルに包んで,胃酸から守り生きたまま大腸に届けます。
- 1包中に20億個のビフィズス菌を含んでいます。
- ビフィズス菌の栄養源であるオリゴ糖の顆粒を配合。
- ナトリウム,リン,カリウムの含有量はごくわずか。
- 水なしでも飲みやすいようにレモン味の顆粒を配合。
B.G.S.パウダー(ビー・ジー・エス・パウダー)
- おなかの中のビフィズス菌を活性化して増やします。
- ビフィズス菌を増殖させる乳清発酵物が含まれています。
- 水なしでも,水に溶かしても簡単に飲めます。
補助食品については,管理栄養士にお気軽にご相談ください。
多くの患者さんは下剤を服用しています。下剤には腸の動きを促進させるものと,大腸での水分吸収を抑えるものなどがあり,症状によって使い分けます。服用する下剤については医師の判断に従いましょう。