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「晩秋」

台風の通過とともに暑い夏は終りを告げ、その後ぐっと気温が下がるとともにいつの間にか山々の紅葉がちらほらと見られる季節となってまいりました。スポーツ界でも夏季シーズンの競技は徐々に終わり冬季スポーツに転じつつあります。
また、ここ1週間ほどは朝夕の気温が日中に較べてぐっと下がってきていますので風邪を引きやすい状態が続いているといえます。油断して風邪など引かないように体調には十分気をつけて下さい。寒くなると衣類が厚く重くなってドライウェイトの調整に忙しい季節でもあります。
政界に目を転じてみますと内政、外交ともまさに「八方塞がり」の状態にあるようですね。国会議員の皆さんには政権奪取のための方策ばかりを労することなく、もう少し国民に目を向けて国民の生活の改善につながる政策のための議論を活発にして欲しいものです。
皆様にはとにかく御自分の体調を崩さず良好な状態が維持できるための御努力をひたすら続けていただきたく存じます。私どもスタッフ一同は、そのお手伝いを惜しみなくさせていただこうと考えております。
結論としまして、とにかく自分の健康を守るのはあくまで御本人であることを常にお忘れなく。

今回の透析室ニュースでは少し趣向を変えて、最近とかく取りざたされている災害時における、透析患者さんの食事のとり方のお話について特集をしてみましたので大いに参考にして下さい。

理事長 溝渕 正行

 

災害時の食事のとり方のポイント

震災、津波など自然災害は、いつ何時、どこに襲ってくるか、現在のところまったく予想がつきません。また、災害により透析が予定通り行えない可能性が考えられます。もし大きな災害に見舞われた時は,普段以上に食事に気をつけてください。

① エネルギー(カロリー)不足にならないようにしましょう

エネルギーが不足すると、体の筋肉が分解されて、尿毒素やカリウムが生成され、尿毒症や高カリウム血症になり危険です。
できるだけ白いごはんやおにぎり、パン、カンパン、ビスケットなどエネルギーになるものを食べましょう。

② カリウムの多い食品は控えましょう

カリウム摂取過剰により,高カリウム血症の危険性が高まります。
できるだけ果物や野菜ジュース、海苔などのカリウムの多い食材は控えるようにしましょう。

③ たんぱく質を多く含む食品は控えましょう

肉や魚、卵、豆製品、牛乳など、たんぱく質を多く含む食品をとりすぎると、尿毒症の症状があらわれます。災害時、 充分な透析が受けられない時は、たんぱく質を多く含む食品は控えましょう。

④ 塩分を控えましょう

塩分をとりすぎると、水分摂取も増え、必要な透析時間が長くなります。
漬物や佃煮、味の濃いおかずは控えましょう。
カップめんが支給されたときは、調味料は全部使わないようにし、またつゆも残しましょう。(カップめんは,つゆも含めると約5g~7g程度の塩分が入っています。)

⑤ 水分はとりすぎないようにしましょう

水分をとりすぎると、心不全をおこす危険性があります。
お茶などの飲み物や汁物など、水分はとりすぎないようにしましょう。
(ただし、過度な水分制限は脱水症状を起こし危険なので気をつけてください。)

災害時は,透析が十分できないこともあります。そんな時一番注意しないといけないのは,高カリウム血症です。災害時に備えて,カリウムの薬(アーガメイトゼリー,カリメート,ミタピラリン)の予備を持っておいてください。

高カリウム血症の症状
・脱力感 ・くちびるのしびれ ・手足のしびれ
・手足の麻痺(まひ) ・胸が苦しい ・不整脈

災害時食事セットを準備しておきましょう

  • 最低3日分は防災食を準備しておきましょう。
  • 防災食は1ヶ所に保管せず,2~3ヶ所に保管した方が良いです。
  • 腎臓病に低たんぱく,低カリウム,高エネルギーに調整された特殊食品と一般に販売されている保存食を組み合わせて準備しておくと良いでしょう。

保存用の特殊食品については栄養士までご相談ください。

 

よくある質問に答えて

管理栄養士 高石 美由紀

【質問】

肉や魚をたくさん食べても 血液検査値のカリウムが上がるって本当ですか?
カリウムは、野菜やいも・果物・海藻・大豆だけかと思っていたのですが・・・

【はい 本当です】

カリウムは私たちが日常食べているほとんどの食品に含まれています。
野菜や果物のカリウムはよく気にされているようですが、意外と肉や魚にもカリウムが多く含まれていることは気にされてないようです。だからといって、肉や魚の量を減らしすぎるのも困ります。なぜなら、肉や魚・卵・豆類・乳製品は、筋肉など体をつくるたんぱく質なども多く含んでいるからです。不足すると、体力や免疫力が低下して病気になりやすくなります。多すぎず、少なすぎず、適量を食べるように心がけてください。

1日に食べる肉や魚の量のめやす(指示量たんぱく50gの場合)
肉60g  魚60g  卵1個  豆腐40g

分からないことがありましたら,栄養士までご相談ください。

 

研究発表について

今年,当院は8演題の研究発表を行いました。
第57回 日本透析医学会学術集会  2012年6月22日・23日・24日開催
演題 トータルクリーン化システムを導入して ~ESA製剤使用量等の変化~
発表者 野村祐介(臨床工学技士)
演題 当院の透析患者におけるABI,PWVについての検討
発表者 吉川 基樹(看護師)

第23回 愛媛人工透析研究会    2012年8月25日開催
演題 「体重増加推移表」の改良版作成
発表者 吉川 基樹(看護師)
演題 「透析効率チェック表」の作成
発表者 野村 祐介(臨床工学技士)

第46回 四国透析療法研究会    2012年10月7日開催
演題 栄養評価におけるnPCRの有用性
発表者 守屋 美佳(管理栄養士)
演題 血液透析モニターHD02を用いたアクセス流量、実血流量の測定
発表者 吉川 基樹(看護師)
演題 透析管理システムを利用した帳票の作成
発表者 野村 祐介(臨床工学技士)
演題 維持透析患者におけるZスコアによる骨密度の検討  【学術奨励賞】
発表者 野村 祐介(臨床工学技士)