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透析室ニュース
第48号 平成24年6月20日発行
「梅雨」
つい1ヶ月ぐらい前まで気温が低く足が冷たくて夜にはコタツに入りたいぐらいでしたが、その後、春はあっという間に過ぎ去りもううっとうしい梅雨を迎えることとなりました。皆さん、体調は良好に維持できていますか。梅雨ともなりますと気温の上昇とともに湿気も強くなり食べ物が腐敗しやすくなりますので食べ物の保存には充分気をつけて、お腹をこわしたりしないように御留意下さい。また天候によっては気温の差が大きくなりますので油断して風邪などひかないように気をつけて下さい。
さて1月より始まりました透析室の増改築工事も7月末の完成をめざして急ピッチで進んでいます。待合室、食堂、休憩室、ロッカールームなどの新調とインフルエンザやノロウィルスなどに感染された方のための隔離ベッドの新設など、完成時には皆様方に大いに喜んでいただけるものと確信しております。完成まで今しばらく御待ち下さい。
折りから、日本の政治経済、世界の経済は大変な混迷期にさしかかっているようですが、我々の医療は待ったなしであります。政党がどこであれ、政策がどうであれ、三島クリニック職員一同はいつも皆様に申し上げております通り、一定のレベルを保った良質な医療の提供をめざして皆様とともに前進するのみでございます。
どうか皆様方も毎月の諸検査値に目を配っていただき健康を勝ち取って、私共のめざす良質な医療の成就に御協力いただけますようによろしくお願い申し上げます。
理事長 溝渕 正行
透析患者さんと悪性腫瘍~胃内視鏡検査・腹部CT検査の必要性~
いろいろな調査において,透析患者さんでは悪性腫瘍の発生の危険性が一般の方よりかなり高いことがわかっています。その原因として,透析患者さんでは尿毒素によって免疫が低下していて癌発生の抑制機能が落ちていることや,尿毒症物質の中の一部のものに発癌作用があることなどが考えられています。
頻度としては消化器系の悪性腫瘍(癌)が1番多く,特に胃癌が最も多くなっています。
また,10年以上透析を受けている患者さんでは,腎癌の発生も多くなっています。原因ははっきりしていませんが,10年以上透析を受けている患者さんの90%以上の方に腎のう胞(中に水がたまった風船のようなもの)が存在するといわれ,その一部が癌に移行するといわれています。
不幸にして腎癌が発生していたとしても,早期に発見し早期に摘出しさえすれば生命に危険を及ぼすことはほとんどありません。
胃癌も腎癌も早期には自覚症状がないことがほとんどです。ですから,早期発見早期治療のためには,何より定期的に検査を行うことが重要です。
このようなことから,当院ではこれまでも年1回の「胃内視鏡検査」と「腹部CT検査」をお勧めしてきました。胃内視鏡検査は経鼻内視鏡といって鼻から入れる内視鏡を使って検査を行います。検査を受けたほとんどの方が「楽だった」と言われます。大切な検査ですからぜひ欠かさず受けてください。
また,腹部CT検査では,短時間で腎臓はもちろんのこと,腎臓以外の臓器,たとえば肝臓・胆のう・膵臓・脾臓なども同時に調べられますので腹部臓器の悪性腫瘍発見の検査でもあるわけです。更に,透析患者さんだけに限らず,近年日本人では肺癌になる人が多くなっていますので毎月の定期検査の胸部レントゲン写真で少しでも異常がみられた方には胸部CT検査をお勧めしています。
自分のからだは自分で守るという意識を持って,内視鏡検査やCT検査を積極的に受けていただきたいと思います。
外食をするときに気をつけること
管理栄養士 高石 美由紀
外食をするとどうしても塩分・水分の摂取量が多くなってしまいます。
そこで、食べ方で工夫して楽しい食事の時間を過ごしましょう。
- 漬物・佃煮は残しましょう。
- 汁物・めん類の汁は残しましょう。
- 魚や肉などのおかずに下味がついているときは、しょうゆやソースなどはかけずに食べましょう。
- 刺身やにぎり寿司などのつけしょうゆは、できるだけ少なくしましょう。すし飯には塩分が多く含まれています。
- 鍋物(水炊き・すき焼き・おでん・ちゃんこ鍋など)は、塩分・水分が多いので、量をしっかりと決めて、食べ過ぎないようにしましょう。
- どんぶり物(かつ丼・親子丼・天丼・中華丼など)は、塩分も多く、ご飯にも味がしっかりとしみ込んでいます。
- 具や汁のしみこんだご飯の量を減らして塩分を調整しましょう。(量を減らすことによりエネルギーが不足する場合は、ゼリーなどたんぱく質の少ないものでエネルギーを補充します)
★ かつ丼よりとんかつ定食に、天丼よりてんぷら定食にしたほうが、とんかつにつけるソースやてんぷらにつけるてんつゆをやめたり、定食についてくる漬物やみそ汁を残すことで、食塩摂取量を2~3g程度少なくできます。お店によっては、注文するときに「薄味にしてください」というと、対応してくれることもあります。対応してくれるお店をさがしてみましょう。また、外食した日は、家では塩分をより控えましょう。
次に外食で気をつけることは、カリウム・リンです。
カリウム・リンの摂取量を少なくするには、おかずとなる肉や魚や卵・豆腐などのたんぱく質をとりすぎないようにします。
日頃から、肉や魚などの1食分の量をしっかりと覚えておきましょう。
カリウムについては、たんぱく質のほかに、野菜やフルーツなどにも気を
つけましょう。
野菜ジュースや果汁100%ジュース、フライドポテト、フルーツの盛り合わせなどは、カリウムが多いので注文は避けたほうがいいでしょう。
外食・コンビニのお弁当・スーパーのお惣菜には栄養成分表示があります。常に見る習慣をつけると、上手に選んで食べることができるようになります。
〔エネルギー・たんぱく質・塩分などの表示を見るくせをつけましょう。〕
物療機器のご紹介〔ウォータ―ベッド型マッサージ器〕〔炭酸浴治療〕
介護予防運動指導員(物療室) 外山 早苗
ウォーターベット型マッサージ器について
当院の物療室中央に三台設置されています。
動作原理は左右対称に配置した噴射ポンプのノズルから噴射される水の圧力をラバーマット越しに患者へ与え、全身のマッサージを行う方法です。頭部から頚部、背部、腰部、臀部、大腿部、後膝部、ふくらはぎ、踵部へと全身を刺激することができます。水はラバーマット越しに噴射されるため患者様は衣服を脱ぐ必要はありません。ラバーマットには柔らかい素材を使用しているため患者様の体型や姿勢への負担を軽減すると共に水に浮いたような感覚でリラクゼーション効果も期待でき、また症例に合わせて任意の部位(上半身、下半身、腰部)に集中した刺激を与えることもできます。
<期待できる効果>
① 末梢の血行促進
② 血液循環の向上
③ 筋肉の疲労物質の除去
④ ストレス解消
⑤ 心と身体のリラクゼーション
<禁忌症例について>
出血を伴う外傷や骨折など水圧刺激が悪影響を及ぼすと思われる場合や体調の悪い患者様、ペースメーカー装着者、医師が不適当と判断した場合は使用することができません。
炭酸浴治療(高濃度炭酸水による足浴)について
炭酸(入浴剤やサイダーなどにも含まれる)には血管を拡張し血流をよくするという作用がよく知られています。軽症(冷え症)~重症(閉塞性動脈硬化症など)、血液透析中の患者さんなどに広く使われています。
炭酸水に足をつけると、炭酸水につかっている皮膚に炭酸ガスの気泡がたくさん付着し約5~10分程度で入浴した部分の皮膚が真っ赤に紅潮します。この紅潮は炭酸ガスの作用により血のめぐりがよくなったためにおこります。
当院の治療では炭酸ガス濃度が1200ppm以上という非常に高い濃度の炭酸水の温度を36℃~38℃くらいに調節し15分間足浴をします。
炭酸浴の特徴
① 炭酸浴による皮膚の紅潮は炭酸水からあがると5分程度で消えますがこの炭酸浴の効果は足浴中だけではなく,その後も一日程度は持続します。
② 炭酸浴は末梢の血管を広げることに効果が高い治療法です。
③ 温泉につかるようにゆったりとした気分でうけることができ症状が軽いうちからでも気軽に治療がうけられます。ヨーロッパでは古くから、行われてきた治療法ですので特に考えなければならない副作用もありません。
④ 目にみえるほどに皮膚の血流も増加しますので皮膚の潰瘍などにはよくきくことが多いといわれています。
⑤ 毎日続けても効果があらわれるまでには個人差があり、1週間~1ヶ月程度かかります。