講演会

開催日 2005年1月30日
講師 名古屋第二赤十字病院 第四外科部長 冨永 芳博先生
演題 「腎性上皮小体(副甲状腺)機能亢進症の治療と病態」

【講演内容】

腎性上皮小体機能亢進症の機序
腎性上皮小体機能亢進症の病因
腎性上皮小体機能亢進症の治療の基本
腎性上皮小体機能亢進症の治療の実際
K/DOQIのガイドライン
現在使われているリン吸着剤、リン吸収阻害剤
活性型ビタミンD製剤
結節性過形成とは
上皮小体過形成からみたPoint of No Return
腎性上皮小体機能亢進症の内科的治療の目標
高度に進行した腎性上皮小体(副甲状腺)機能亢進症の症状
健常者と腎不全患者における心疾患による死亡危険率
異所性(軟部組織)の石灰化
異所性石灰化の成因
Ca×Pi積と死亡危険率
血清リン濃度と死亡危険率
腎性上皮小体機能亢進症の治療目標
新しい手術適応
新しい手術適応(絶対適応)
腎性上皮小体(副甲状腺)機能亢進症の治療に影響を与える要因
手術前の注意事項
腎性上皮小体機能亢進症の術式
上皮小体全摘出後自家移植術
上皮小体全摘出後前腕筋肉内自家移植術
全ての上皮小体を確認することの困難さ
腎性上皮小体機能亢進症年別PTx施行症例
持続性機能亢進症、再発の定義
手術後の再発率
手術後の生存率
手術の合併症、偶発症
不確実な手術は持続性上皮小体機能亢進症、再発で難儀をする!

 

腎性上皮小体機能亢進症の治療目標は、骨障害(腎性骨異栄養症:線維性骨炎)の予防から、心血管系疾患の進展(異所性石灰化)の予防へと変わってきている。

腎性上皮小体機能亢進症の内科的治療の目標は、びまん性過形成より結節性過形成への移行の阻止である。

腎性上皮小体機能亢進症は、長期透析患者にとって生命予後にかかわる深刻な合併症であるため、早い時期に是正することが重要であり、治療に当たっては内科的治療の限界をいかに見極めて、どの時点で外科的治療を選択するか長期的展望の上に判断する必要がある。

上皮小体機能亢進症の手術においては、初回時確実な手術(過剰上皮小体を含めた全ての腺の同定、切除)が重要で、そのためには上皮小体の発生、解剖、病態に精通する努力が必要である。