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透析室ニュース
第85号「災害に備えて」-令和6年5月6日発行-
新緑
理事長 溝渕 正行
花見が終わったと思ったら、4~5月の大型連休に突入し、法皇の山並みも一気に緑が濃くなり、同時に気温がぐっと上昇して夏日に入ってまいりました。皆さん、体調はいかがでしょうか。
新型コロナウイルス、インフルエンザの感染も徐々に減ってはきましたが、未だ1医療機関当たり1週間に3.5人前後の感染発生が続いています。従って、感染防御は引き続き行ってください。
今後は、健康でいつづけるためには、熱中症にならないようにしっかり予防することが大切になってまいります。今回のニュースでは熱中症予防の大切さとその予防法を解説させていただきますので、しっかりと実行して熱中症にかからないようにしてください。
話は変わりますが、県内では4月17日(水)午後11時過ぎに大きな地震がありました。
南予では透析施設の被害もあったようです。東予でも地震が起こらないという保証は全くありません。私たちとしてはとにかく準備をして被害を最小限にくい止めて、きちんと透析が受けられるようにする必要があります。災害への心構えと準備についても併せて書かせていただいておりますので、しっかり読んで実行していただけたらと考えております。
送迎バスのご利用について注意とお願い
溝渕 敦子
当院では自家用車や公共交通機関での通院が困難な透析患者様のため、無料送迎バスを運行しております。利用される患者様に、改めてご注意いただきたい事項がございます。下記をご確認・ご了承の上ご利用いただきたくお願いいたします。
透析患者様は、循環器疾患をはじめとし様々な合併症をお持ちの方が大半です。透析中に血圧低下をはじめとした偶発症が起こることは決して珍しくありません。また、血液透析は体外循環を用いる治療ですので、皆様が思っているよりはるかに身体への負担が大きい治療です。血液透析治療の特殊性からみれば、事故発生のリスクは常に存在し、最近においても我が国の透析医療事故は、なお高頻度に発生がみられていると言わざるを得ないのが現状です。
最優先すべきは、患者様ご自身の健康と安全であることを十分にご理解いただき、バスの時間厳守のためスタッフに透析終了後の対応や処置を早めるよう要求する行為は控えていただきたく存じます。
当院の送迎バスは、透析患者様が複数で利用される乗り合いサービスですので、前述の通り、特に帰りの便においては定刻通りの運行が難しい場合もあります。同乗患者様のバス乗車時間が多少遅れても、優しい気持ちでご対応いただければ助かります。
また、何らかの理由により透析終了予定時刻を大幅に過ぎてしまった場合には、ご家族による送迎や(ご自身負担での)タクシー利用、後続のバス便利用をお願いいたします。
患者様の安全な透析生活を守るため、当院職員も引き続き一丸となって頑張ってまいります。皆様のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
「暑熱順化(しょねつじゅんか)」をご存じですか?
体が暑さに慣れていなく、気温が急上昇するときは、熱中症が増えるタイミングです。
徐々に体を暑さに順応させることを「暑熱順化(しょねつじゅんか)」といいます。暑熱順化により体温調節が上手くできるようになると、熱中症になりにくくなります。
暑熱順化には個人差がありますが2週間ほどかかると言われているため、今の時期から暑さに慣れるための運動や軽めのストレッチ、シャワーだけでなく湯船につかる入浴で徐々に暑さに体をならしていくことが大切です。また、エアコンの点検や試運転、暑さ対策に必要な持ち物の確認など、本格的な夏に備えた準備も一緒に始めるとよいです。
災害に備えて
前号では、「災害時に食事で気を付けること」、「自宅に備えておくとよい食品」などについてまとめました。今回は、災害時の基本的な注意点について説明いたします。
1.災害時の心構えについて
災害発生時には身の安全を確保し避難することはもちろんですが、透析患者さんが最も必要なことは継続して透析治療を受ける必要があるということです。しかし、さまざまなことが想定されます。
例えば、
・被災によって道が通れず、通院ができない。
・送迎バスも通常通り運行できない可能性が高い。
・いつも通りの”4時間透析”が出来ずに、透析時間が短縮になり透析不足になる。
・自宅が被災し避難所から通院が必要になる。
・当院も被災によって治療を行うことができない。
(その場合、透析可能な地域へ移動して治療を継続することもあります)
まずはこの心構えをしっかりと認識して、災害時に備えて日ごろから「持ち出し品」や「災害時の行動」について確認・用意しておきましょう!!
2.避難時、持ち出しリスト
《 ① 基本リスト 》
□ 常備薬、救急セット
□ 非常食(できれば3日分)
□ 靴
□ 現金や貴重品
□ 懐中電灯(電池)、ラジオ
□ 防寒グッズ
□ 携帯電話(充電器など)
□ マスクや消毒液など衛生品
□ 家族の連絡先など
《 ② 透析治療に必要なリスト 》
□ 愛媛県人工透析患者連絡カード
□ 定期薬と薬剤情報(おくすり手帳
□ 保険証や各種受給者証
□ 止血ベルト
□ マスク
日ごろからすぐに持ち出せるように準備しておきましょう!
3.災害時どこで透析を受けるのか
① 三島クリニックで透析可能な場合
災害時はふだん通り治療を行うことが難しいことが想定され、透析日の変更、来院時間の変更、透析治療時間や透析条件の変更を余儀なくされることが考えられます。
そのため、いつ何時から透析できるのかはその時の状況により常に変わりますので、当院の指示にしたがって来院してください。
② 三島クリニックで透析ができない場合
【他院での透析を受けなければなりません】
その場合、必ず案内された施設で透析治療を受けて頂くことになります。団体が自治体や国と調整し、透析患者さんが継続して治療が受けられるようなシステムが構築されています。
4.透析中に地震が起きた場合
・ 揺れているときは布団を被って、ベッドから振り落とされないよう、回路はしっかり握ってベッドにつかまって下さい。
・ 揺れがおさまったら避難が必要な場合は避難を開始します。その場合、必ず医師やスタッフの指示に従って下さい。
・ 透析の回路をスタッフが外しに行きます。自分で外さないで下さい。自身で移動できる方はスタッフの誘導に従って避難場所まで移動して下さい。
5.透析を受けていないときに地震が起きた場合
・ 身の安全を確保し、避難が必要な場合はそれぞれの地区の避難所へ避難して下さい。
・ 【避難時、持ち出しリスト】を一緒に持って行って下さい。
・ 避難所では、救護者に自分が透析患者であり透析をしなければならないことを必ず伝えて下さい。
『三島クリニックで透析しています。明日も透析をしないといけないんです!』
「周囲に知られたくない…」「数日ぐらい大丈夫…」などと伝えない状態が続くと、治療が受けられず命に関わります!!
適度な運動と外出が食事を美味しくする理由
管理栄養士 飛鷹 佳枝
食事は美味しく感じていますか? 美味しく感じない場合、運動や外出で改善されることもあります。
1.運動による食欲増進
運動は、食欲を増進させる効果があります。体を動かすことで代謝が活発化し、食べたいという欲求が高まります。特に、軽い運動やウォーキングは、消化器官を活性化させ、食事の美味しさを引き出します。
2.外出の新鮮な刺激
外出することで新しい環境や景色に触れることができます。新鮮な空気や自然の中で過ごすことで、心身がリフレッシュされ、食欲増進につながります。また、外出先での食事は、通常の自宅での食事よりも特別なものと感じられることがあるのもよいことです。
3.ストレス軽減
運動や外出はストレスを軽減する効果があります。ストレスが軽減されると、食事を楽しむ余裕が生まれます。透析患者様はストレス管理も大切で、運動や外出はその一環として役立ちます。
ウォーキングや軽い運動
毎日少しでもウォーキングやストレッチなど軽い運動を取り入れましょう。体を動かすことで食欲が増し、食事を美味しく感じることができます。
外出先での食事
家の中だけでなく、外出先でも食事を楽しんでみましょう。レストランやカフェなどで特別な食事をすることで、食事の美味しさをより感じることができます。
自然の中での食事
自然の中でピクニックを楽しんだり、公園でランチをとったりしてみましょう。新鮮な空気と美しい景色が食事をより美味しくしてくれます。新緑の過ごしやすい季節となりました。運動や外出は食事を美味しく感じるだけでなく、健康とのバランスを保つためにも重要です。楽しい食事となるよう、積極的に取り入れてみませんか。