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「晩秋の気配」

暑い夏もやっと終りこれから過ごしやすい秋の行楽シーズンだと思っていると早くも冬到来を思わせる寒さを感じたりして、衣服のコントロールも難しい今日この頃ですが、皆様体調はいかがでしょうか。
令和2年もあと2ヶ月余りで終ろうとしていますが、地球上では新型コロナウイルスの感染もいまだ衰えをみせることなくむしろ増加する傾向をみせ始めている現状です。日本政府は経済的な不調の心配から、感染がまだ落ち着いていないにもかかわらず旅行、食事などを勧めようとしています。ですから皆さん政府のそういった政策は新型コロナウイルス感染者数の減少を意味するものではないということをしっかり理解しておいてください。
新型コロナウイルスの予防には前号で述べさせていただきました、

①三密(密閉空間、多くの人の密集、他人との近距離接近)を防ぐ
②手洗い、消毒を頻繁に行う
③マスクの着用と咳エチケットの実践

を守るしかありません。
今回の三島クリニック透析室ニュースでは、今一度新型コロナウイルスのことを正しく理解していただいたうえで、いかに予防が大切であるかということの再確認をしていただきたいのと、秋の味覚より発生する高カリウムの危険性についてしっかり勉強していただき健康管理に役立てていただきたいと考えていますのでよろしくお願いいたします。

理事長 溝渕 正行

 

~新型コロナウイルスはまだ収束したわけではありません~

副院長  溝渕 剛士

「コロナも落ち着いているのに何で透析施設での食事を再開せんの?」
「帰るときに送迎バスにぎりぎりまで乗せてくれないのは何とかならんの?」
「みんな、不満に思ってるよ。」
最近、当院透析患者さんとの上記のような会話を耳にしました。そのような会話を聞くうちに患者の皆様と我々医療従事者との間にかなりの「認識のずれ」があると思われましたため、現在の新型コロナ感染症の「正しい認識・現状」について今一度、記載させていただきます。
10月11日現在、国内での新型コロナウイルス感染症の感染者は88,912例、死亡者は1,627名となりました。一方、日本全国の透析患者さんでは、10月9日現在、感染者数270例 (死亡者38名,死亡率14% )となっています。

9月以降、特にGo Toトラベルキャンペーンなど経済支援に向けた動きも加速されており,感染に対する恐怖心がだいぶ薄らぎ皆様の間でも気が緩んでいる頃ではないでしょうか。
しかし、第2波のピークだった8月(8月7日、1,595人感染)よりは少なくなったとはいえ、全国では毎日600人前後の新規感染者がでています。最近ではコロナ感染で小規模の集団感染が発生してもあまり大きなニュースにはなっておりませんが、10月10日以降は比較的近隣の広島県呉市や福山市の介護施設での集団感染(クラスター)、東京では再度、病院での集団感染が発生するなど第2波からの新型コロナウイルス感染患者数の減少傾向は確実に止まっている状況であります。今の感染者数は4月に緊急事態宣言が出された時とほぼ同じ感染者数です。ですから現在の状況としては、決して新型コロナウイルスが収束したわけではなく、さらにこれからの季節、インフルエンザの流行とともに予想できない大流行(第3波)が起こる可能性が非常に高く、今まで以上にコロナ対策を心掛けていく必要があります。

新型コロナウイルス感染症は、早期より唾液中のウイルス量が非常に高く、発症する数日前より感染性があり、発症前後での他人への2 次感染が非常に多いという特徴があります。また、一般人口の致死率1.9%に対して、透析患者の致死率は14.2%と非常に高率であり、特に70 歳以上の患者の致死率が非常に高率となっています。

繰り返し申し上げますが、コロナウイルス感染症は決してだんだん少なくなってきているわけではなく、寒くなり空気が乾燥してウイルスが活発化するこれからが本番であり、まで以上の大流行を起こしかねない致死的な感染症であることを決して忘れてはいけません。ワクチンや特効薬もまだないため、考えられるすべての感染予防対策をしっかり行っていくしかありません。

① 食事提供の中止、透析センターでの食事禁止の継続
「院内クラスター(集団感染)」は、食事中の飛沫感染〔コロナウイルスは唾液中に非常に多く、咀嚼(食事を噛む)によって唾液が多くなり飛沫量が多くなる〕により発生していることにより、現在でも全国の透析施設ではほぼ食事提供、透析室など密閉空間での食事が中止されています。当院でも、今後も「食事提供の中止、透析センターでの食事禁止」を継続していきます。

② 患者同士での透析室、送迎バス内での不要な会話をなるべくしない
コロナウイルスは空気中に浮遊した状態(エアロゾル)では、感染力が長時間持続することが分かっています。エアロゾル感染でのクラスター(集団感染)も多数発生しております。

自分が感染していると考えての行動が望まれる今、透析室、待合室、送迎バスでの会話もなるべく控える必要があります。特に送迎バスについては、感染者が万が一にも、一人でも出れば即座にすべての送迎バスが全面中止ということになります(保健所指示)ので、引き続きくれぐれも細心の注意を払ってください。バスが待機していても時間までは出発することはありませんから、早くからバスに乗り込もうとするのも控えてください。密閉された空間への滞在はできるだけ短い方が感染のリスクが減ります。また引き続き発熱時には送迎バスには乗車せず、当院へ電話連絡をして指示を仰いでください。

③ 今年の冬はなるべく「インフルエンザワクチン接種」をしましょう。
今年の冬はインフルエンザと新型コロナウイルス感染の重複感染が十分に予想されます。少しでも感染を予防するためには、インフルエンザにはワクチンでの感染予防という方法がありますので、今まで接種したことがない方も検討してみてください。

このコロナ禍、皆さんには厳しいことも申し上げなければなりません。また病院本館建て替えにより御迷惑をおかけすることも大いにあるかとは思いますが、各々の感染予防、また万が一感染したとしても感染拡大の予防を十二分に留意していく必要があります。
政府の提案する「新しい生活様式」を十分実践していくこと、また基本的ですが、「マスクの着用、(特に透析前の)手洗い、うがい」を繰り返し行い、自身でできる感染予防を引き続き行ってください。また追加としまして、政府による緊急事態宣言などは経済のことを考えるため発出されておりませんが、やはり不要不急の外出や旅行はできるだけ控えるようにしてください。
「透析患者」である皆様の命を守るための提案・措置であることをどうか御理解ください。決して、意地悪で言っているのではなく、当院透析室で「コロナ感染症を発生させない、拡げない」という大きな目標のためであるとご理解よろしくお願いいたします。

 

予防接種のインフルエンザの予防効果

副院長  溝渕 剛士

インフルエンザ予防接種を施行すると、絶対インフルエンザにならない訳ではありません。ただ日本人の最近の報告では、65歳以上の高齢者に限ってはワクチンにより、「発病自体を34-55% 阻止、死亡率を82% 阻止」するということが知られております。

時々、患者さんの中には『インフルエンザワクチンによって風邪をひいた。』という声を耳にします。ワクチン接種時期が比較的遅い時期であり、風邪やインフルエンザが多い時期と重なるとそういった印象を受けがちですが、「インフルエンザワクチンは不活化ワクチンのためワクチン接種により風邪やインフルエンザに罹患することはない」というのが正しい知識です。

卵アレルギーのある方へのインフルエンザ予防接種は「要注意」、また発熱がある状態での接種は「不適当」ですが、体調のいい時期をみて接種を検討してみてください。当院での接種は、準備が整いしだい皆様にお知らせいたします。

尚、2020年シーズンは国のインフルエンザワクチン供給量;約6300万人分(日本総人口; 1億2581万人)と過去5年間では最大量ではありますが決して多くはなく当院へ供給されるワクチン数にも限りがあります。そのためなるべく早めの接種をお勧めします。

 

カリウムコントロールのためのポイント

管理栄養士  飛鷹 佳枝

カリウムは、神経や筋肉にはたらく栄養素で、多くの食品に含まれています。血液中のカリウム値が高くなり過ぎると、不整脈が起きたり心臓が突然止まってしまう恐れがあります。そのため、腎臓からカリウムを尿中へ排泄できない透析患者さんでは、カリウムを多く含む食品の摂取を控える必要があります。消化管(胃や大腸小腸)出血やエネルギー不足でも高い値になることがあります。適切なエネルギーとたんぱく質を確保しつつ、1日のカリウム摂取量を2000㎎以下にした食事管理が必要です。

カリウム摂取量に影響する食品群は野菜類が最も多く、1日全体量の約1/4を占めます。その次に多いのが果実類です。このため、カリウムをコントロールするには、野菜を適切な量で水さらしや茹でこぼして摂取したり、果物ではカリウムの多くないものを選び、適切な量を摂ることがポイントです。カリウムが特に多く含まれている芋類、種実類、藻類は、食べ過ぎに注意が必要です。

カリウムが多く含まれている食品

・野菜(調理前の総重量で1日250~300gが目安)
もやしはカリウムが少ない代表的な野菜です
・果物(1日50g目安)
アボカド、バナナ、メロン、ドライフルーツは多く含まれているので極力控えましょう
・芋類、種実類、藻類
食べ過ぎに注意が必要です

カリウムを減らす方法

カリウムは水に溶けやすい性質をもっています。野菜や芋類は、調理の始めに水にさらしたり、ゆでこぼしたりすることでカリウムを減らすことができます。細かく切って表面積を増やすと、よりカリウムが流れ出やすくなります。
果物は缶詰だと、約1/3~1/2のカリウム量に減らせます。
シロップはカリウムが溶け出しているので、飲まないようにしましょう

エネルギー不足に注意しましょう

エネルギーが不足すると、体内に蓄積されているたんぱく質や脂肪などが不足エネルギーを補うために使用され、体蛋白が崩壊することにより血液中のカリウム値が高くなってしまいます。また、食欲がないとき、さっぱりした果物を食べ過ぎるとカリウムが上がってしまいます。エネルギー源となる炭水化物をしっかり摂るようにしましょう。

いもたき
いもたきは、特産のおいしい里芋と、鶏肉、厚揚げ、ごぼう、にんじん、長ねぎ、もやし、しいたけなどが入った栄養バランスのとれた郷土料理です。里芋はカリウムの多い芋ですので、50~80gを目安に、くれぐれも食べ過ぎにご注意ください。カリウムが流れ出た汁は飲まないようご用心ください。
冷凍を上手く活用するとカリウムを減らすことができます。
加工別カリウム含有量(100g当たり)
さといも  生640mg  水煮560mg  冷凍340mg