ブログ

「梅雨」

雨がうっとうしく蒸し暑い日が続いていますが、皆さんの体調はいかがでしょうか。
令和2年ももう6月末を迎え今年の半分が過ぎてしまいました。今年は2月3日、横浜に寄港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号で新型コロナウィルス(COVID-19)の感染が報告されて以来、日本国内で少しずつ感染報告が増加し、ついには4月16日に特別措置法に基づく緊急事態宣言が行われるまでに至りました。いったん5月25日に緊急事態宣言は解除されましたが、6月2日には「東京アラート」が宣言され、再び国民への注意が喚起された末に6月19日に休業要請が解除されました。世界中で感染患者が1千万人を超え日本国内でも累計患者数は18,390人となり、残念ながら死亡された方も971人を数えるに至りました(6月28日現在)。この間、日本国民も不要な外出は控えざるを得ず、経済的にも低迷を余儀なくされ大変辛い思いをしてきたわけではありますが、新型コロナウィルスに対して特効薬やワクチンがないため、これは止むを得ない状態でありました。実際6月19日の休業要請解除後も東京では1日の感染者数が60人前後に増加してきています。引き続き新型コロナ感染の蔓延を防止するために、また第2波を防ぐために以下の原則を守り続けていきましょう。

1.三つの密を避ける
① 密閉空間 … 換気の悪い密閉空間をつくらない
② 密集場所 … 多くの人が密集しない
③ 密接場面 … お互いに手を伸ばして届く距離での会話や発声を控える
(ソーシャルディスタンスの確保)
2.頻繁な手洗い・手指の消毒
3.咳エチケットの実践 … 飛沫を飛ばさない・マスクをつける
そしてもう一つ大切なことがあります。それは「個人個人が自分の感染力に対する免疫力を上げる」ということです。感染症にきちんと効く治療薬がない現在、自分の免疫力を強くして新型コロナウィルスの感染を予防するしかありません。つまり栄養をしっかり摂ってアルブミンの数値を上げて体力、免疫力をつけることが感染予防の最大の武器になるというわけです。今回の透析室ニュースでは、「毎月の検査の項目にもある血清アルブミンの数値に注目してこれを上げましょう」、また、「アルブミンを増やし免疫力を上げるにはどのような食事をすれば有利なのか」などについてしっかり勉強をしていただき、それを実践して感染に対しての備えをしていただきたいと思います。

 

血清アルブミン〔Alb〕の値に注目しましょう!

透析患者さんが長生きするためには、栄養をしっかり摂り、体力と免疫力をつけることが大切です。毎日しっかりと食べているつもりでも、実は“十分な栄養”が摂れていないことがあります。特に暑い夏は、さっぱりしたメニューになりがちなのでご注意ください。
そこで今回は、栄養状態を反映する、アルブミンという蛋白について簡単にまとめさせていただきます。

透析患者さんには栄養不良の方が多くみられます。栄養不良かどうか判断するのに一番適しているのは血液検査では血清アルブミンの値です。皆さんはお渡ししている検査結果(体調の評価)で、自分のアルブミンの値を注意してみられていますか。アルブミン値は4 g/dl以上が理想ですが、少なくとも3.6 g/dl以上を維持するようにしたいものです。3.5 g/dl未満だと栄養不足の可能性があります。栄養状態が悪いと、体調が良くない状態が続いたり、体力が落ちいろいろな感染症にかかりやすく、かかれば重症化しがちです。
透析患者さんの血清アルブミン濃度が低いほど、死亡の相対的危険度が高い(生命予後が悪い)傾向にあるとのデータがあります。血清アルブミン濃度が3.5~4.0g/dlの患者の死亡の相対的危険度を1とした場合、3.0g/dl未満の患者の相対的危険度は約39倍にもなるという報告もあります。また、アルブミン値が4 g/dlを超えている人(栄養状態の良い人)は、死亡の相対的危険度が低い、すなわち長生きであることもわかっています。このため、アルブミン濃度は透析患者さんの栄養状態・健康状態を知るうえで重要な指標となります。

アルブミンは、食事から摂取した蛋白質などを材料として主に肝臓で作られます。血液や筋肉など体中に広く分布していて、細胞の働きを助ける機能をもっています。アルブミンは、肝臓障害、栄養不足、消耗性の炎症などで減少します。また、透析患者さんにおいては、透析が充分に行われず尿毒症状態が続くと蛋白異化(体の蛋白質が分解される)が起こり、体は消耗しアルブミンは減少します。

アルブミンの働き

アルブミンの働きは、主に次に述べる①血液中に水分を保持し、血液を正常に循環させる、②体内のいろいろな物と結合し、これを目的地に運ぶ運搬作用があります。

① 血液の浸透圧の維持
浸透圧とは水を引っ張る力です。アルブミンは、浸透圧の維持により、血管内にある血液の水分を保持し、血液を正常に循環させています。アルブミン量が低下し、浸透圧が維持できずに下がると、血液中の水分が血管外に漏れ、肺やお腹に水が溜まったり、顔や下肢にむくみ(浮腫)が生じます。
② 物質の運搬、保持
アルブミンは、色々な物質と結合する性質を持っており、カルシウムや亜鉛などの金属イオン・脂肪酸・酵素・ホルモン・薬剤などと結合します。アルブミンは、これらの物質を保持し、体の必要とする目的部位まで運搬する働きをします。
また、毒素と結合して毒を中和する働きもあります。

血清アルブミンを上げるためには

◆適切な栄養素をしっかりとる
食事の量が多くてもアルブミン値などでみるとなかなか栄養状態の良くならない患者さんもいます。アルブミンは血液中の蛋白質ですが、だからといって蛋白質を多く含む食品ばかり食べてもリンや尿素窒素が高くなるだけで、アルブミン値は上がりません。蛋白質、炭水化物、脂肪をバランス良く、適切な量をきちんと摂取し、エネルギー(カロリー)も十分摂取する必要があります。
◆しっかり透析する
透析が不足すると、体に尿毒症物質が蓄積し、吐き気や食欲低下といった症状が出てくることがあります。「今日は体調が良くないので透析時間を短くして下さい」と言う患者さんが時々いますが、これは間違いです。体調の悪い時こそいつもよりしっかり透析して、体調をととのえなければいけません。しっかり食べて余分な毒素は透析でしっかり抜きましょう。

 

免疫力を上げる食事~新型コロナウィルスに負けない~

管理栄養士 飛鷹 佳枝

腸内環境を整える

善玉菌を増やして腸内環境を整えましょう。
(免疫細胞の70%は腸内の粘膜に存在!)

乳酸菌

悪玉菌を減らして善玉菌を増やす
みそ 納豆 酢  ヨーグルトなどの発酵食品
ヨーグルトなどの乳製品はリンが高くなる可能性があります。
ビフィズス菌が粉になった商品もあります。栄養士までご相談ください。

オリゴ糖

腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やす
たまねぎ 大豆 にんにく ごぼう
液体や粉末型のオリゴ糖も市販されています

食物繊維

善玉菌のエサとなり腸内環境を整える
海藻(カリウム少なめは、ところてん もずく) 果物

排便をスムーズにして便秘を予防
きのこ類 野菜 芋類

良質のたんぱく質

たんぱく質は身体を作る栄養素。免疫抗体もたんぱく質から作られる
肉 魚 卵 大豆製品  リンに注意適正量を摂りましょう

ビタミンC … ストレスは免疫力を低下させる。ストレスに対抗するためにはビタミンC
野菜 果物 カリウムに注意 野菜はゆでこぼし、水さらし 果物は1日50g目安

体を温める

免疫力、代謝が上がります
しょうが たまねぎ ごぼう 人参 れんこん

ファイトケミカルで免疫力を上げる

ファイトケミカルとは、植物に多く含まれる成分で、体によい作用があります。
免疫力に働くのは … にんじん、かぼちゃ(βカロテン) きのこ類(βグルカン) 海藻類(フコイダン) しょうが(ジンゲロール) にんにく(アリシン)

免疫力は、全身から作り出されます。その身体を作っているのが食事です。
リン、カリウムを上手にコントロールしながら、バランスのとれた食事で免疫力を向上させましょう。