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透析室ニュース
第69号 平成30年8月3日発行
「酷暑」
いゃー暑いですね。毎日35.0℃~40.0℃の猛暑が続いていますが、皆さんの体調はいかがでしょうか。まさに命をおびやかすほどの、人間の体温を上回る気温の連続です。また、先月は50年に一度の“すぐに命に危険があるほど”の多量の雨が降り、中国、四国の多くの方が被災をされました。被災をされた方々には心からの御見舞を申し上げる次第でございます。
これらの気候異常現象は日本国内のみならず世界的な傾向のようです。そしてその原因としては世界気象機関によりますと皆さんも御存知の“温室効果ガス”による長期的な気温、海水温の上昇によるものとみられています。つまり温室効果ガス(炭酸ガスなど,これらが空気中に多量に存在すると赤外線を吸収して温度が上昇する)が増加することで気温が上昇し地表の水分が蒸発しやすくなり大気中の水蒸気量が増加してたくさんの雨が降るというわけのようです。どうも天災といっても人災のようなので、世界中の人間が協力して温室効果ガスの排出を減らすしかないようです。政治家の方々にしっかり協議していただきたいものです。
そこで今回は気温の上昇によって引き起こされる熱中症について、その病気の起きるしくみと予防について副院長から詳しい解説がありますので、正しく理解していただき元気な毎日をお過ごし下さい。
理事長 溝渕 正行
熱中症について~猛暑日を乗り切りましょう~
副院長 溝渕 剛士
皆さん、非常に暑い中いかがお過ごしでしょうか?
7月の梅雨明けから全国各地で摂氏35度を超える猛暑日が続いております。
またニュースでは熱中症患者が救急搬送されたと連日報道されております。
そのため、今回は熱中症とは何か?
また透析患者さんがどうやって防ぐか、症状があった際にはどうしたらいいかを中心に記載します。
◎熱中症とは?
熱中症は夏の暑さや運動から起こる体調不良のことをいいます。私達の身体は、汗をかいたり皮膚から熱を逃したりして体温を下げますが、気温が体温を上回った時や湿度が非常に高い時は、汗を出したり熱を逃す働きが弱ってしまい、熱中症を引き起こしやすくなります。一般的に御年配の方や肥満の方、また糖尿病の患者さんや平時から飲水・塩分制限している透析患者さんは熱中症になりやすいと言われています。
【症状】
下記の通り様々な症状があります
体温;38℃以上、気分不良・吐き気、めまい・立ちくらみ、
頭痛・力が入らない、大量の汗・こむら返り、体がだるい・手足が痺れる
◎どんな時に熱中症になりやすいのか?
前日より急に気温が上がった日、温度はそんなに高くはないが湿度が非常に高い日(体内の熱を逃すことが出来ないため)、涼しい部屋から急に外へ出た時(温度差が5℃以上ある)、室温の高い屋内での行動、睡眠不足時
→ 今年は熱中症の多くは、室内で発生しております!!
◎熱中症の予防
1.エアコン(冷房・ドライ・除湿)を上手く使用する
温度や湿度の高い部屋で長時間過ごす事は、非常に危険です。
室温は28度、湿度は60%以下を保つことが理想的です。
「暑いから」といって、室内の温度を極端に冷やしすぎると外の温度との差が大きくなり過ぎます。体が暑さに慣れておらず、汗を出させる働きが鈍くなり暑い場所へ行っても逆に汗をかけない体になってしまい、かえって熱中症を起こしやすくなりますので「冷やし過ぎ」にはご注意ください。そのため、扇風機で冷たい空気を循環させたり、すだれやカーテンを併せて利用することで直射日光を避けることにより、暑さを感じにくくなりますので是非お試しください。
2.服装にも工夫が必要です
素材: 綿や麻などの通気性・吸湿性の良いものを選んでください。
色 : 紺や黒色などの濃い色の服は熱をどんどん吸収しますので、白色や水色など淡色系のものが効果的です。
デザイン : 首に直射日光が当たると逆に体温が上がりますので、ピタッとしたものよりも、ゆったりとした服がいいと思われます。帽子や日傘で直射日光を避けてください。
3.水分補給は一度に飲まずに、こまめに水分を補給する。
透析患者さんでは尿での水分の排泄が困難な為、「どんなものを」「どうやって」飲むのかが非常に重要です。夏場は汗などの不感蒸泄で水分喪失が非常に多くなっておりますので通常の季節よりも「+300~500ml」の水分補充はとってもいいと思われます。透析間の体重増加がマイナスで来院される患者さん、または非常に少ない患者さんは特に水分補給をしっかり行ってください。通常の水分制限を頑なに遵守し、脱水になると突然のシャント閉塞などの危険性も非常に高まります。
<屋内で過ごす場合>
「汗をかいていない」ことが多いと思うので・・・安いお茶(麦茶.玄米茶でOK)
玉露などの高級なお茶はカリウムが高いのです。
“一度に飲んでしまわず、時間の間隔をあけて一口ずつ”を心掛けてください。
<屋外で過ごす場合>
「汗をかいているな」という場合には…アクエリアスをまめに少しずつ飲んでください。
様々な清涼飲料水の中でも、「アクエリアス」はカリウムが低くていいと思います。
但し、決して一気飲みなどは控えてください。あくまで「まめに少しずつ」です。
◎実際に熱中症のような症状が出た場合には・・・
- 暑い場所からクーラーの効いた室内や涼しい木陰に避難し、同時に衣服を緩めて風通しが良くなるようにしてください。
- 冷たいタオルで体を拭いたり、冷たい缶ジュースや氷枕などを脇の下、首などに当てて体を冷やすのも効果的です。また霧吹きがある場合には、霧吹きで全身に水を浴びせて気化熱により冷やすことも効果があります。
それでも倦怠感・気分不良症状が続くようなら、当院まで御連絡をください。
非常に暑い時期がしばらくは続きますが、何とか工夫をしながら暑い時期を乗り切っていきましょう。
何か不明な点などがありましたら、遠慮なくスタッフまでご質問ください。