ブログ

ごあいさつ

撮影:平成21年10月26日

秋も深まり紅葉が見頃を迎え、今年ももう残りわずかとなって参りましたが、皆様の体調はいかがでしょうか。
今年は、3月以来、豚インフルエンザに由来する新型インフルエンザA(H1N1)が世界中に大流行しています。5月には日本に上陸したと思えば、8月には日本国内で死者もでて世間を混乱させています。皆様もぜひ手洗い、うがいなどを励行し栄養と睡眠を十分にとって感染予防に努めていただきたいと思います。なお、予防接種に関しましては政府により接種の順番が決められ、一部の方から既に始められていますが、まだまだ量が十分でなく当局からのスムーズで迅速な供給がなされていないため、皆様方に行き渡るのにもう1~2ヶ月はかかるのではなかろうかと思われます。今しばらくお待ちください。
さて、最近のビッグニュースといえばなんといっても今夏の衆議院議員選挙で民主党が圧勝したことではないでしょうか。この結果問題なのは、政策ことに医療行政がどのように変化してくるかということです。全く予想がつきませんので、私達は皆様方と一緒にじっくりと注目して見極める必要があると思われます。
大変遅くなりましたが、今回やっと「三島クリニック透析室ニュース」を発行できることとなりました。内容としましては透析室の電子化、効率化のお蔭で皆様方に毎月お届けしております「体調の評価」の内容を一新しましたので、その解説を中心にしたものになっています。以前にも増して詳しい内容となっておりますので、健康を続けるための更なる参考として大いに活用していただきたいと思います。

理事長 溝渕 正行

 

新しい「体調の評価」について

これまで定期検査の結果は、特に重要な12項目のみをレーダーチャートにして「体調の評価」としてお渡ししておりましたが、11月より新しい様式で検査結果をお渡しすることになりました。
新しい「体調の評価」では、これまでのレーダーチャートより、皆様にお知らせする検査項目を大幅に増やしております。
「体調の評価」の内容は、基本データとして、透析方法、透析時間、ダイアライザー、血流量、ドライウエイト、検査日の透析前体重、検査日の透析後体重、体重増加率などが記入されています。
検査データとしては、心胸比、アルブミン、 GOT(AST)〔ジー・オー・ティ〕、 GPT(ALT)〔ジー・ピー・ティ〕、 β2MG(ベータ・ツー・ミクログロブリン)、 HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)、 PTH(ピー・ティ・エイチ)、 尿素窒素、クレアチニン、尿酸、カリウム、リン、 カルシウムリン積、 ヘマトクリット、 随時血糖などを載せております。さらに、透析効率を表す KT/V(ケイ・ティ・オーバー・ブイ)、タンパク質摂取量の目安となる PCR(ピー・シー・アール)、同性同年齢の健常人と比較した筋肉量を表す %クレアチニン産生率をお知らせすることになっております。

体重増加率およびその他の検査データでは、検査結果が望ましい値の範囲を外れる場合は、値が赤い数字で印刷されています。ただし、個人差のある検査項目もありますので、赤い数字だからといって、必ずしも異常というわけではない場合がありますのでご注意ください。
ほとんどの方がこれまで聞いたこともない項目もあるかと思います。そこで、最初の「体調の評価」をお渡しする時に、「体調の評価の見方」と題した小冊子をお渡しします。その小冊子は「体調の評価」でお知らせする項目全てを簡単に解説したものです。見方の難しい検査もありますが、理解できる範囲で結構ですのでよく勉強していただきたいと思います。
分からないことや疑問があれば、遠慮なくスタッフにお尋ねください。

「体調の評価」の下の欄には、今までとよく似た9項目の検査をレーダーチャートにしています。赤い線で結ばれているのが検査結果です。レーダーチャートの項目の検査値は表をご覧になってください。青い線は望ましい値の上限値を表しています。ですから、検査結果が望ましい値より高い場合は、青い線を越えてピンク色のゾーンにはみ出すことになります。

 

今回からの透析室ニュースでは、「体調の評価」の中で特に重要な項目について、「体調の評価の見方」の内容よりはやや詳しい説明をしていきたいと思います。

透析方法について

HDはエイチ・ディと読み「血液透析」という意味の英語の略語です。多くの患者様が受けられている通常の透析のことです。
もうひとつの透析方法は、on-line-HDFです。これは、オンライン・エイチ・ディ・エフとよみ、特殊な方法で行う血液透析ろ過のことです。on-line-HDFは、長期透析を受けられている方、あるいは全身のかゆみの強い方や下肢のイライラ感などの症状がある方に受けていただいている治療法です。on-line-HDFをすることによって、通常の血液透析では抜けきれない大きな毒素を抜くことができます。
オンラインHDFは、完璧な清浄化が行われた水と注射液と同じレベルまで純度を高めた透析液を持続的に作る技術と設備がある施設だけで行える治療法です。

 

透析時間について

十分な働きができなくなった腎臓に代わって、腎臓の機能の一部を代行しているのが血液透析です。血液透析で代行できることは、

  • 老廃物(尿毒素)を排泄する
  • 余分な水分を取り除く
  • 電解質(ナトリウム、カリウム、リン、カルシウム、マグネシウムなど)を調節する
  • 血液中にアルカリ成分(重炭酸)を補充する

などです。

ただし、人間の腎臓が1日24時間、毎日休みなく血液をきれいにするために働いているのに比べて、血液透析は1週間に3日、それもほとんどの方が1回4時間あるいは5時間です。そのため、血液透析は尿毒素の除去という点では人間の腎臓には及びません。
しかしながら、同じ週3回透析でも1回4時間透析をしている人に比べて、5時間透析をしている人は、合併症が出にくく、長生きするということが世界的な調査でも明らかになっています。
わずか1回1時間の違いですが、5時間透析をすることで体の隅々までの毒素を十分抜くことができ、それによって非常につらい透析の合併症を防ぐ効果が何倍にも増し、またそれが長生きにも結びつくという大きな差になって将来表れてきます。
元気で長生きをしたいという思いはどなたにもあります。そのためには、現在3時間の透析の方は4時間透析に、4時間透析の方は、ぜひ5時間透析をしてください。必ず体調が良くなります。

後の項目は、次号に続きます。

 

フルデジタル電子内視鏡システム「アドバンシア (Adovancia)」

当院では平成21年7月より、県下他施設に先駆けて、高画質画像を得られる最新の電子内視鏡システム「アドバンシア(Adovancia)」を使用した内視鏡検査を行っております。
アドバンシア(Adovancia)は、高画質画像を得るための数々の機能をはじめ、内視鏡画像の視認性を向上させる分光画像処理機能「FICE」を標準搭載した電子内視鏡システムの最上位機種です。
(FICEは、衛星画像分析にも採用されている高精度の色判別技術により、内視鏡の検査・診断を補助する分光画像処理機能です。)

内視鏡検査においては、病変部分の隆起や陥没、表面模様などの形状や色調の微妙な変化を読み取ることが重要ですが、内視鏡によって照らし出される画像の見え方は、観察する光の波長の違いで大きく変化します。

しかし、従来の内視鏡では、決まった波長パターンによる画像のため、必ずしも視認性の高い画像を得ることができませんでした。FICEでは、異なる反射を示す波長の分光画像を任意に抽出し、反射分光スペクトルの差が最も大きくなる波長成分の分光画像を選択して疑似カラー化することで、よりコントラストが強く視認性の高い画像を得ることができます。
従いまして、FICEによって、内視鏡検査における高度な検査・診断が可能となります。
胃癌や大腸癌は、早期発見が何よりも重要です。定期的に検査を受けることをお勧めします。

 

超音波骨折治療器「オステオトロンⅢ」

介護予防運動指導員(物療室)外山 早苗

骨折の治療は、整復と固定あとは自然治癒力(ちゆりょく)に任せるのが通常ですが、当院では、難治性の骨折治療にオステオトロン(超音波骨折治療器)を使用しています。
骨折部に微弱な超音波パルスを照射することによって、骨癒合(ゆごう)が促進され、骨折の治癒期間が40%も短縮されることがわかりました。また、2008年6月に北海道で日本超音波軟骨組織学会が開催され、鎮痛効果や早期骨癒合例が紹介されています。
現在、骨折治癒期間を短縮する医療技術として注目されています。
骨折線の中心をターゲットにして超音波を伝達していきますので、位置決めが重要になります。伝導用ゼリーを塗り20分間、超音波照射を行うだけで、痛みも刺激もありません。  (もちろん骨折治癒期間は骨折部や周辺組織の損傷の程度、全身状態によって個人差があり、時には骨癒合が得られないこともあります。)

 

体内時計と食事のお話

管理栄養士  高石 美由紀

体内時計ってご存知ですか?
体内時計とは、脳の視床下部に生まれつき備えられていると考えられるもので、睡眠・食事・活動などの生体リズムをコントロールするものです。ホルモンの分泌や胃腸の運動や消化酵素の分泌は、時間に深くかかわっています。そのため、体内時計によって刻まれている生体リズム(睡眠・食事・活動など)にあわせて、1日3回(成長期・疾病を除いて)きちんと食べることが健康に大変良いことですし、疲労や肥満も防ぎます。また、1日3食でないと充足しにくいビタミン・ミネラルなどを必要量とることができます。
ちなみに、1日3食の習慣は鎌倉時代にとりいれられ、公家社会に引き継がれ、徳川時代には1日2・3食混合、明治になって一般庶民に1日3食が定着したとされています。

(参考資料 栄養の基本がわかる図解事典)