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年頭のごあいさつ

デンドロビウム
撮影:平成20年1月19日

新年明けましておめでとうございます。昨年末より今年にかけて寒い日が続いていますが、体調はお変わりございませんか。四国中央市内ではインフルエンザや嘔吐下痢症が流行していますので、その予防には十分気をつけて自分の健康をしっかりと守って下さい。
年頭から、アメリカ経済の不調に影響されて株価が大幅に下がり、ガソリンは急騰するなど日本経済は大荒れの様相を呈してきています。そこで政府は再び予算を切りつめるため、官僚の予算無駄使いの是正等に向けることなく医療費削減に向かおうとしています。これではせっかくの世界でも指折りの良質な日本の医療制度が崩壊しかねません。
医療費の削減でいつも標的にされるのは決まって透析医療です。そうなりますと透析医療の質の低下につながりかねません。それだけは絶対に防がなければなりません。
話は変わりますが、今年は三島クリニックの透析医療が新しい時代を迎えようとしています。それは、二つの大きな前進のための改革が行われようとしているからなのです。
第一には今年の5~6月に導入が予定されている透析支援システムであります。つまり毎日の皆様の透析医療及びその積み重ねであるデータをコンピューターにて一元管理し、皆様は朝体重計に乗るだけでスタッフがコンソールに触らなくても今まで以上にミスの生じない、質の高い透析が順調に行えるというものであります。
第二には、機械室及び透析室の配管を現在日本で使用されている材質のうち最も良質なものに取り換え、透析液の究極の清浄化を果たしていくというものであります。この二点より透析が更に良質なものとなり、皆様の寿命を延ばすことができるのではないかと考えています。大いに期待していただきたいと思います。厚生省の方針とは逆に三島クリニックは常に前進し続けて行く方針ですのでよろしくお願い致します。

理事長 溝渕 正行

 

第7回三島クリニック講演会

演題 「透析ライフにおける自己管理の重要性」

講師 望星病院 院長 北岡 建樹 先生

腎臓は小さな臓器ですが、老廃物の排泄機能、体内環境の恒常性維持、内分泌機能、代謝機能などといった大切な働きをしています。その腎臓が何らかの原因で障害を受けると浮腫、高血圧、肺水腫、心不全、アミロイドーシス、腎性貧血、腎性骨症などといったさまざまな病態が全身に起こってきます。

最近、腎臓の機能が悪くなってきたら原因疾患に関係なく慢性腎臓病(CKD)という言葉が使われるようになってきました。これは、世界的に透析患者数の増加、また高齢者や糖尿病患者の増加によって今後さらに透析患者が増えることが予想され、そうなれば社会経済的に大きな問題となるため腎臓病の早期発見と早期治療により進行を阻止しようとする考えに基づくものです。

2006年12月末現在における透析患者数は264,473人で、この数は日本国民480人に1人が血液透析を受けているということになります。

現在の透析療法の医学的問題点としては、透析患者の高齢化、糖尿病による腎不全の増加、長期透析に伴う合併症の多様化、栄養障害などであり、それによって透析維持が困難なことや生活の質の低下あるいは予後不良などといった事態が起こってきています。
日常生活の質と活動力を維持するためには、透析療法を中心に食事療法、薬物療法、運動療法を連携して行なうことが重要です。

いい透析を行なっていくうえで自己管理は重要です。また、自己管理によって合併症の改善や進展防止という面でもかなりの部分で効果があります。
自己管理が可能なこととしては、体温、血圧、体重などの測定、シャント管理、食事内容(熱量、水分、塩分、カリウム、リンなど)のチェック、薬をきちんと服用する、筋力の衰えを防ぐための運動療法などがあります。そういった自分でできることはしっかりやっていただきたい。
食事療法は透析治療における基本中の基本で、しっかりと食事療法を行なうことで合併症の予防・防止を行なうことができると同時に透析療法の効果を上げることができます。透析食の考え方は、バランスの良い食事で、適切な熱量と蛋白質、水分・塩分・カリウム・リンの制限ということになります。

透析患者さんの死亡原因のうち、心不全・脳血管障害・心筋梗塞という心血管系の病変がもっとも頻度が高くなっています。そのため長生きをするには、心血管系の管理が重要です。
心血管系の病気にならないためには、食事療法(水・塩分の制限)と薬物療法による血圧の管理、高脂血症やカルシウムとリンの管理をしっかり行い動脈硬化を予防すること、貧血の管理などが大切です。

透析患者さんにみられる高血圧のうち、大部分(70%以上)は体液量の増加による「容量依存性の高血圧」で、透析により過剰な体液量を除去すること(除水操作)によって血圧は正常化します。残りの20%程度は「レニン(血圧を上げることに関係したホルモン)依存性の高血圧」ですが、実際には「容量依存性」と「レニン依存性」の両者を合併した高血圧もよくあります。
除水しても高血圧が改善できない場合は降圧薬を服用しなければいけません。結局のところ、高血圧に対しては、水分・塩分摂取量の制限が基本で、次に透析による除水で適正なドライウエイトの達成、降圧薬の服用ということになります。

水分摂取量の制限のためには、塩分制限をすることが第一です。塩分を取りすぎるとのどが渇き、水を飲んでしまいます。たとえば塩分8gを摂ると水を約1リットル摂取することになります。減塩醤油、レモン味、ケチャップ、酢味など調味料の工夫をして1日の塩分摂取量は5~7g程度に制限することを心がけましょう。そして、水分摂取量を尿量+700ml程度に制限し、透析間の体重増加を、中1日ではドライウエイトの3%以内に、中2日でドライウエイトの5%以内に抑えましょう。
体に溜まった過剰な水分を透析で急激に除水すると、足がつったり急に血圧が下がるといった透析困難症の発現、心血管系への負担が増強、シャントがつまる、あるいは心筋梗塞、脳梗塞、虚血性腸炎の出現といったことが起こりうる可能性が増大します。

透析患者さんの中には、持続性・慢性低血圧の人や透析療法治療中から透析後にかけてのみ低血圧になる人がいます。このうち持続性低血圧の原因としては、心機能不全、血管反応性の低下、本態性低血圧、レニン‐アルドステロン系の機能不全、自律神経系の機能不全、ドライウエイトの設定ミスなどが考えられます。

十分な透析を行なうためには、透析中の血圧の維持ということはとても重要ですから、持続性低血圧の患者さんに対してはドライウエイトの設定を検討したり、血圧を安定させるあるいは血圧を上げる薬剤を使わなければいけません。また、透析治療中のみ低血圧になる場合には、ドライウエイトの適正設定、降圧薬使用の検討、血圧を安定させるあるいは血圧を上げる薬剤の使用、透析方法の工夫などの対策が必要です。

栄養状態が悪いとどうしても死亡危険度が上がります。栄養状態の指標としてアルブミン濃度を4g/dl程度の正常な値を維持していただきたい。そのためにも適正な蛋白質摂取とバランスのとれた食事療法が大切です。

腎性貧血を改善することによって、身体的活動力が向上し、ADL(日常の生活活動)やQOL(生活の質)が非常によくなります。また、心不全の防止にもなり死亡率の軽減と予後の改善につながります。貧血改善の目標としては、2007年の日本透析医学会でのガイドラインの見直しも踏まえると、ヘモグロビン濃度で10~12 mg/dl、ヘマトクリットで30~36%の範囲でコントロールするのがいいでしょう。

高カリウム血症は、痺れ、脱力感、不整脈などの症状がでますが、ひどくなると心停止を起こす危険なものです。カリウム含有量の多い食品をしっかり勉強して、そういったものの摂りすぎには十分注意してください。また、定期検査の結果が出たら、検査のカリウムの値と摂取した内容の照らし合わせをして、カリウムの値が上がっている場合には、必ずその原因を探ってください。

カルシウムとリンについは、血管の石灰化ということが一番の問題になってきています。血管の石灰化は、心臓を養っている冠状動脈を始め末梢血管まで全身の血管で起こってきます。血管の石灰化は一度起こってしまうと、その治療は困難になってきますので、カルシウムとリンのコントロールをしっかり行なって予防することが重要です。リン、カルシウム、PTH(副甲状腺ホルモン)の管理目標値は、血清リン濃度3.5~6.0㎎/dl、血清カルシウム濃度 8.4~10.0mg/dl、インタクトPTH 60~180pg/mlに設定されています。

リンのコントロールには、リン吸着薬をしっかり服用することが大事です。また食品中のリン含有量を理解して、検査結果と食事内容を対比してチェックしてください。高リン血症はカリウムとは違ってすぐに症状は出ませんが、長い年月の間に骨病変や異所性石灰化といった大きな合併症となって現れることを理解して十分注意してください。

透析治療を十分行なっていくためには、医療者と患者さんとの深い共感関係を築きあげ、コミュニケーションをしっかり持つことが大切です。そしてより良い透析ライフのためには自己管理が重要であることをしっかり理解し努力していただきたいと思います。

 

転倒と歩行について

管理栄養士 

介護予防運動指導員(栄養室) 高石 美由紀
介護予防運動指導員(物療室) 外山 早苗

転倒は介護が必要になる大きな原因の一つです。転倒で老後の生活が一変することもあります。

転倒の要因の一つに、前かがみの姿勢とすり足があげられます。ともに高齢者に特徴的で背骨が曲がることと筋力低下の影響です。歩くときは ①かかとから着地 ②つまさきで蹴る ③前を見る、この3つが大切です。3つ同時に意識しながら歩くのは難しいのであえて一つ強調するなら ①かかとから着地 を心がけましょう。大げさにする必要はなく意識をもつことが重要です。

(注)雪道や凍った路面などではかかと着地をすると逆に危険なので足のうら全体で着地し踏みしめるように歩きましょう。

当院の物療室にも電動ウォーカーや円背(猫背)の予防や改善をするチェストプレスなどがあります。
スタッフにお申し出てぜひご利用ください。

電動ウォーカー

チェストプレス

 

放射線について

診療放射線技師 山内 由美

「放射線」と聞いて何を想像されますか?「危険」あるいは「怖い」というイメージでしょうか?私達は生活していく上で、放射線と密接な関わり合いを持っています。今回は、放射線被ばくについて簡単にお話いたします。
人は空気中や食物、大地などから天然に存在している放射線をあびています。その被ばく量は1年に2.4mSvと言われています。一般的に私達が何らかの症状をきたすような被ばくをする可能性はほとんどなく、日常生活での被ばくの量は健康に悪影響を及ぼすほどの量ではありません。一方、医療においては胸部写真やCTを撮影すると放射線をあびます。胸部撮影で使用される放射線の量は、1回0.06mSvと微量です。
放射線はその量が非常に多くなれば害になりますが、適切に使えば人々の暮らしに役立つものとなります。人と放射線に限らず、上手く共存することが豊かな将来に繋がっていくのではないでしょうか。

※ Sv(シーベルト)とは、放射線の単位の一つで、人体にどの程度影響を与えるかで放射線の量を表したものです。

 

患者様からの投稿「孫の夢」 加地 ちか子 (透析歴25年3ヶ月)

私は透析26年目に入りました。今までのことを思うと、こうして元気でいることが自分でも信じられないくらいです。透析導入当時、子供は小学生でした。親や主人その他いろいろな人に助けられ、子供も結婚し、現在4人の孫がいます。その孫も二人は小学生になりました。
昨年、大阪にいる娘の出産で1ヶ月程手伝いに行くことになりました。三島クリニックよりいろいろ手続きをしていただき、透析をしながら都会生活、孫の保育園の送迎、家事と不安ながらも無事終えることができ、親の責任を果たすと同時にとてもいい思い出ができました。
今まで長い旅行などはできないと思っていたのですが、自信がつきました。
孫の晃大は、「僕、大きくなったら大工さんになって家建ててあげるから…」、また、孫のほのりは、「私、パーマ屋さんになって頭きれいにしてあげるから…」、そして、孫の淳友は、「僕、野球選手になって阪神に入るから見に来てね」と。この間生まれた壮一郎は、「?」、何と言ってくれるかな。

今は孫に囲まれ楽しい毎日を送っております。できるだけ健康管理に心がけ、孫の成長を見たいと思っております。院長先生、スタッフの皆様、これからもよろしくお願い致します。

 

栄養室より 管理栄養士 高石 美由紀

あけましておめでとうございます。
新しい年を迎えて、何か新しいことを始めてみたくなったら食事日記をつけてみませんか。
簡単に気楽にで大丈夫です。メモだけでもO.K.です。1週間とか1ヶ月だけでも大丈夫です。(果物を食べ過ぎてしまう方は果物だけでも、水分が気になる方は飲み物だけでも・・・)
誰にも見せないつもりで正直につけてみたら、自分の好みとか習慣とかが分かって、気になっていた検査結果の原因も分かるかもしれません。そこで気になる食べ物が見つかったら気軽に声をかけてください。

今年もスタッフ一同、まごころを込めた食事を作ってまいります。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

献立

御飯
お雑煮
おせち料理
(黒豆 かずのこ だし巻
たたきごぼう ) 縁起ものです。
少量ずつお出ししています。

 

献立

御飯
白身の南蛮漬
茶碗蒸
ほうれん草のごま和え

 

献立

御飯
松風焼
肉じゃが
いんげんののり和え