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冬支度

撮影:平成19年11月15日

記録的な暑さがやっと終わったと思うと、秋を経ることなくいきなり冬がやってきたような今日この頃です。山の木々も紅葉など冬への準備をどうすればよいのか戸惑っているかの感さえみられるように思えます。この急激な気温の変化にかぜをひかれる方が多くなってきています。皆様、かぜは万病のもととなりやすいですから外出から帰るとうがいをするなど予防に努めてください。また、今年はインフルエンザの流行が心配されています。タミフルが副作用の面から使用しづらい今日、インフルエンザの予防接種を早めに受けられたらよいと思います。
今年も余すところわずかとなってしまいましたが、恒例の三島クリニック講演会(第7回)を12月2日(日)に行いたいと考えていますので、是非皆様万障御繰り合わせのうえ大勢御参加ください。今年の演者であられる北岡建樹先生は透析療法全般にわたって詳しく、きわめて分かりやすく解説していただけるものと思いますので、必ず皆様方の透析ライフに大いに参考になると確信しております。
今回の透析室ニュースは、検査データの見方のつづきとスキンケアなど盛り沢山となっていますので御一読ください。

 

「検査データの見方」について(Ⅳ)

「検査データの見方」についての説明は、今回で最終回です。御自身の検査データに関心を持って、常に注意を払うことはとても大切なことです。検査について疑問に思うこと、検査値の推移などについてお知りになりたい時はいつでもお気軽にご相談ください。

 

アルカリフォスファターゼ(ALP)

目標値 350以下
骨の異常がすすむと上昇します。また、肝臓に障害がある場合にも上昇します。

 

LDH

目標値 245以下
エル・ディ・エイチと読みます。肝臓に障害がある時や心臓の疾患があるときに上昇します。

 

ZTT

目標値 12以下
ゼット・ティ・ティと読みます。肝臓に慢性的な障害がある時に増加します。

 

アミラーゼ (AMY)

目標値 400以下
主に膵炎がある場合に上昇します。(透析患者さんでは、腎臓からのアミラーゼの排泄が低下するため膵炎がなくてもアミラーゼが上昇します。健常人の正常値上限の3倍以内なら特に心配はいりません。従いまして、目標値を400以下に設定しています。)

 

β2ミクログロブリン( β2MG)

目標値  30(mg/L)以下
ベータ・ツー・ミクログロブリンと読みます。(ベータ・ツー・マイクログロブリンということもあります。)腎臓で壊される蛋白質の一種なので、透析患者さんでは高値になります。β2ミクログロブリンは、全身の骨や関節に沈着して透析アミロイド症(アミロイド骨関節症、手根管症候群など)を引き起こす原因物質なので、できるだけ低値を保つように透析治療を行います。目標値は30mg/L以下ですが、20mg/L以下に保つのが理想です。

 

ビオラ
撮影:2007.11.15

 

血糖(BS)

目標値

  • 糖尿病を合併していない方
    空腹時    110mg/dl以下
    食後2時間後  140mg/dl以下

 

  • 糖尿病を合併している方
    空腹時    140mg/dl以下
    食後2時間後  180mg/dl以下

血糖は、いわゆる血糖値のことで血液中のブドウ糖濃度を示します。血糖は空腹時が一番低く、食後どれくらい時間が経過したかで変わってきます。糖尿病を合併していない方でしたら、空腹時で110mg/dl以下、食後2時間程度たった時点で血糖が一番高い状態になった時で140mg/dl以下が目標値です。糖尿病を合併している方は、低血糖の危険性を考慮して少し高めの目標値を設定しています。

 

ヘモグロビンA1C

目標値

  • 糖尿病を合併していない方  5.8%以下
  • 糖尿病を合併している方   6.5%以下

ヘモグロビン・エイ・ワン・シーと読みます。過去1~2ヶ月前の血糖の平均値を反映し、高血糖状態の期間が長いほど高値を示します。

 

血清総蛋白(TP)

目標値  6.5g/dl以上
栄養状態や健康状態の指標となります。6.5g/dl以上が目標値です。

 

血清アルブミン(ALB)

目標値  3.6g/dl以上
アルブミンは血清蛋白中の約70%を占める蛋白質です。栄養状態が悪い時や肝臓に障害がある時に低下します。3.6g/dl以上が目標値ですが、できれば4.0 g/dl以上が理想です。

 

総コレステロール(T‐Cho)

目標値  180mg/dl以下
コレステロールが高いと動脈硬化の原因になります。しかし、栄養状態が悪いと逆に低

くなります。総コレステロールが140mg/dl以下では、栄養不良と考えられます。

 

HDLコレステロール(HDL‐Ch0)

目標値  40mg/dl以上
エイチ・ディ・エル・コレステロールと読みます。動脈硬化を抑える作用があるため善玉コレステロールと呼ばれています。目標値はできれば40mg/dl以上としたいです。

 

LDLコレステロール(LDL‐Cho)

目標値  100mg/dl以下
エル・ディ・エル・コレステロールと読みます。高値になると血管壁に沈着し動脈硬化が進みやすいといわれています。そのため、悪玉コレステロールと呼ばれています。

 

中性脂肪(TG)

目標値  150mg/dl以下
血液中の中性脂肪が多くなると動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)の原因となります。また、肥満との関連が強く、中性脂肪と肥満度は比例します。

 

以上で定期検査の項目の説明を終わります。機会をみて臨時的に行われている検査についても簡単な説明をさせていただこうと考えております。

 

「第7回三島クリニック講演会」のご案内

毎年ご好評の講演会を下記の予定で開催します。
講師の先生は、埼玉県望星病院院長であられる北岡建樹先生に御依頼しております。

◆ 日時 平成19年12月2日(日) 午前10時
◆ 場所 コスモパル
◆ 演題 「透析ライフにおける自己管理」
◆ 講師 望星病院院長 北岡 建樹 先生

北岡先生をお迎えしての講演は、またとない機会でございますので、御家族お誘い合わせのうえ、ぜひ御参加ください。なお、皆様のお知り合いで、他の施設で透析を受けられている方で参加ご希望の方がいらっしゃいましたら、ぜひお誘いください。
(他の施設で透析を受けられている方が、講演会出席を希望される場合は、申込書を提出していただく必要がありますのでお申し出ください。)

 

かゆみ対策~スキンケアについて~

透析患者様の多くが、かゆみを訴えられます。かゆみは、からだの内からの刺激、あるいはからだの外からの刺激によって起こります。このうち、からだの外からの刺激に対しては日頃から気をつけていれば予防できることが多くあります。ここでは、かゆみ対策としてスキンケア(肌の手入れ)を中心にまとめてみました。

スキンケアのポイントは
 皮膚を清潔に保つ
 皮膚の乾燥を防ぐ です。
特に、皮膚の乾燥はかゆみの一番の原因になります。これからの季節は空気が乾燥しますので、それに伴って皮膚も乾燥しやすくなります。御注意ください。

 

  • シャワー、入浴で皮膚の清潔を心がける。
  • 入浴の時、一番風呂や熱めの湯には入らない。
  • からだを洗い過ぎない。またこすり過ぎない。
  • ナイロンタオルは使わず、柔らかいタオルで洗う。
  • 石鹸を使いすぎない。できるだけ刺激の少ない石鹸を使う。そして石鹸をよくすすぐ。
  • 爪がのび過ぎていると、掻いた時キズになりやすいので、爪ののび過ぎに注意する。
  • チクチクする肌着はさける。
  • 暖房や強い日差しに注意する。
  • 皮膚の乾燥を防ぐための軟膏やクリームは、入浴後や就寝前に毎日塗る。
  • 十分な睡眠をとる。(十分な睡眠は皮膚の新陳代謝を促します。)

かゆみを防ぐために、ぜひスキンケアに取り組んでいただきたいと思います。

 

ねたきり予防のキーワード

管理栄養士
介護予防運動指導員(栄養室) 高石 美由紀
介護予防運動指導員(物療室) 外山 早苗

太ももの筋肉

太ももは、年をとると特に衰えやすくなる筋肉です。太ももの筋肉が弱まると関節痛などの原因になります。

 

腸腰筋

体の奥の方にある「インナーマッスル」とも呼ばれる筋肉の1つで、体を支えるのに大切な筋肉として最近注目されてきています。そこで、自転車に乗ってゆっくりとこぐだけで太ももと、腸腰筋が鍛えられます。(速くこぐ必要はありません)高齢の方やバランスを崩しやすい人などは無理をせず、物療室に専用の運動マシン(ニューステップ、エルゴメーターバイクなど)がありますのでスタッフにお申し出てぜひご利用ください。
ニューステップは年齢・体力を問わず、どなたでも座ったまま運動できるマシンです。また、エルゴメーターバイクは運動により消費したカロリーが表示されます。

ニューステップ

 

エルゴメーターバイク

 

患者様からの投稿「一日一生」 入道 一夫 (透析歴11年8ヶ月)

あっという間に季節も変わり、もうすぐ紅葉の美しい季節になります。
私も透析導入してから11年8ヶ月になりました。その間も入退院が何度かあり、最近ではインタクトPTHの数値も高くなり、血管の石灰化といろいろ問題も多くなってきています。リンやカリウムの数値も上げないように思っていますが、上手くコントロールできず困っています。しかし、考えすぎると食事も美味しくないので、少しずつ何でも食べるようにしています。
今から寒くなりますから汗も出ません。水分のとり過ぎに十分注意し、体重増加にも気にかけていきたいと思っています。
ストレスの解消と健康づくりに趣味もいろいろやっています。釣り、山野草の採集、メダカなどなど…、少々飽きっぽいのがタマにキズです。
今一番夢中になっていることは陶芸です。素焼の後釉薬(ゆうやく)を塗り、本焼をして完成となります。一番のドキドキは、窯を開ける瞬間です。上手く焼けているか?釉薬の色が思うようにでているか?本当にドキドキする一瞬です。今では、陶芸を通して、マンネリ化した生活を少しでもエンジョイできるように、一日土と遊んでいます。池田町のレストハウスウエノ(川の駅)で販売していますが、あまり売れません(^_^;)

最近、全腎協の本を見ていたら、新潟市在住で60歳、透析歴38年という方がおられました。私もこの方のように、20年、30年と今の健康を維持し長生きしたいと思っています。 三島クリニックの送迎バスを利用させてもらっていますが、遠くから週3回ずっと通うことを考えると、送迎バスの運行には大変感謝しています。
今年も後二ヶ月足らずとなりました。風邪、インフルエンザなどにかからないように健康管理に注意して、一日一生の気持ちで実りの多い楽しい人生を歩んでいきたいと思っています。
院長先生、スタッフの皆様これからもよろしくお願いします。

 

栄養室より~リンに気をつけましょう~ 管理栄養士 高石 美由紀

リンが高いと、骨や関節が悪くなるだけでなく、血管の石灰化を始めとして生命に関わる合併症を起こす危険性があります。また、頑固なかゆみが起こることもあります。
リンが高い方は、下記のようなことをチェックしてみてください。
 ① たんぱく質摂取量は適正ですか?(食べ過ぎに注意)
 ② リンを下げる薬を飲み忘れていませんか?
 ③ 次のようなものをとりすぎていませんか?

  • 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
  • 卵(鶏卵、いくら、たらこ)、レバー
  • しらす干し、ししゃも、丸干し など
  • 肉や魚の加工品(ウインナー、かまぼこ、ちくわ など)
  • 洋菓子(ケーキ、プリン、チョコレート、アイス など)
  • おつまみ類(アーモンド、ピーナッツ、するめ、さきいか)
  • 主食に中華そば(ラーメン)や日本そばなどのめん類

カルシウムを摂取しなければと思い、骨ごと食べられる丸干しやしらす干しなどの小魚、あるいは乳製品やカルシウム補助食品などを多く摂取される方がいらっしゃいますが、それによってリンや血液尿素窒素(BUN)が高値となることがありますので気をつけましょう。