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開院25周年

「バ ラ」撮影:平成17年10月5日

皆様お元気ですか。体調はいかがでしょうか。
暑い夏がようやく過ぎ去り、台風シーズンもどうやら終わり、やがて秋祭りを迎えようという一年中でもっとも良い季節がやって参りました。このすばらしい時期、10月6日に三島クリニックは開院25周年という大きな節目を迎えることとなりました。これもひとえに患者様方 職員の皆さんの御協力、御力添えの賜物であると深く感謝致しております。本当にありがとうございます。

透析医療の面からはこの25年間に飛躍的な進歩をとげて参りました。エリスロポエチンの出現により腎性貧血への輸血の必要性が極端に減ったことやハイパフォーマンス膜の開発による中分子量尿毒素の除去によってアミロイドーシスの予防が可能となってきたこと、二次性副甲状腺機能亢進症の病態の詳しいメカニズムの解明とその治療に必要なリン吸着剤の開発、活性型ビタミンD製剤の開発、手術療法の進歩などであります。更に、HD以外にもHDF、オンラインHDF、CAPDなど多岐にわたる治療法の出現もありまして、当院開院当時の治療とは比較にならず隔世の感があります。また、この間、各種降圧剤の開発、改良、進歩なども進み透析医療全般にわたって治療が急速な進歩をとげて参りました。こうして透析患者様の寿命も守るべきを守り良質な管理ができれば必然的に飛躍的に延長できることとなりました。

今後も医療は更に進歩しつづけるはずです。当院では、常にいち早く進歩した医療を取り入れて、皆様方の健康の増進に少しでも多く役立てるように努力してゆく所存であります。

開院以来25年を経過しましたが、今後とも決して後方を振り返ることなく(もちろん今迄の技術を基礎とすることは当然ですが)、新規開業のつもりでしっかりと前方をみすえて進んでゆくつもりです。今後ともよろしくお願い申し上げます。

さて、今回は透析患者さんの訴えで最も多い「かゆみ」についての話です。当院におきましては、かゆみの強い方は最近少なくなっているような印象を持っていますが、多かれ少なかれかゆみに悩まされている方はいらっしゃると思います。ぜひご一読ください。

理事長 溝渕 正行

 

かゆみの原因と対策

透析患者さんのかゆみの原因としてはさまざまなものが考えられますが、それらの原因が複雑に関与しあって強いかゆみになっています。

バーベナ(美女桜)
撮影:平成17年10月5日

 

皮膚の乾燥

透析患者さんの中には、汗を出す汗腺や皮脂を出す皮脂腺が萎縮していて、皮膚に水分が少なく乾いてカサカサになっている人が多く、それがかゆみの大きな原因になっています。従って、汗をかく人にはかゆみを訴える人が少ないのです。かゆみを減らすため日頃から汗をかく習慣をつけましょう。

入浴は皮膚を清潔に保つという意味でかゆみ対策としては重要なことですが(皮膚が汚れているとかゆみの原因になります)、石けんの使いすぎやこすりすぎはいけません。また、ナイロンタオルの使用はやめましょう。入浴は、石けんをよく泡だてて柔らかいタオルでやさしく洗い十分石けんをすすいだ後少しぬるめのお湯につかるようにしましょう。

入浴後は、皮膚の乾燥を防ぐための軟膏やクリームを必ず塗りましょう。特に空気が乾燥している10月から5月頃までは保湿のための軟膏・クリームは欠かせません。明らかなかゆみが現時点ではなくても日頃から保湿に関するスキンケアは必要です。

 

血液中のカルシウム、リンの値が高い

カルシウムやリンが上がると、これらが皮膚に沈着し、それによって頑固なかゆみが起きることがよくあります。また副甲状腺機能亢進症による過剰な副甲状腺ホルモン(PTH)分泌によってもかゆみが増強されます。いずれにしても、カルシウムとリン代謝の異常がかゆみの大きな原因になることは間違いありません。心臓や血管を守るためにリンのコントロールの重要性については繰り返しご説明してきましたが、かゆみ対策としてもリンを下げることが大事なのです。「最近かゆくなってきたな」と思ったら、検査データのカルシウムやリン、そしてカルシウム・リン積(Ca×P)値をよく見てください。そして、もしそれらが高いようであれば、まずそれに対する対策をとることが治療の第一歩です。

 

尿毒素の蓄積

かゆみの原因となる尿毒素がなんであるかははっきりとは特定されていませんが、透析効率が悪いほどかゆみが出やすくなりますので、十分な透析がかゆみ対策の基本です。
当院では、高性能膜ダイアライザーを使った十分な透析でもかゆみが改善できない場合、血液透析ろ過(HDF)を受けていただいております。血液透析ろ過では、通常の透析では抜けにくい大きな毒素を効率よく抜くことができるため、頑固なかゆみの軽減に効果が期待できます。

 

その他の対策

衣類は、化学繊維やウールは皮膚を刺激します。肌着は木綿にしましょう。

背中などのかゆみには、軽く絞った熱いタオルで拭くのが効果的な場合があります。透析中ならスタッフに消毒用のアルコールで拭いてもらっても結構です。拭いた後は必ずかゆみ止めや保湿用の軟膏・クリームを薄く塗りましょう。

シャント部や穿刺部などがかゆい場合は、氷のうなどで冷やすのがいいでしょう。透析中であれば、透析液の温度を下げることでかゆみが軽くなることがあります。

イライラすると、掻くことによってますますかゆみが増しますので、気分転換やリラックスをすることで掻きたい気持ちを紛らわせましょう。また、掻いたらダメと思えば思うほどかゆくなります。掻かないのにこしたことはありませんが、どうしても掻きたい時は皮膚を傷つけないように掻いてください。掻いた後は、保湿剤やかゆみ止めを必ず塗りましょう。

 

かゆみに対して、自分で判断してむやみに薬をぬり、間違った治療をすると悪化することがあります。かゆみが出てきたら、気軽にご相談ください。

 

患者様からの投稿「開院25周年によせて」 星川陽子

開院25周年おめでとうございます。私は昭和55年12月より、長年お世話になっています。
平成11年度には透析施設も新築して下さり、透析液のさらなる清浄化、HDFの大幅導入、個人にあわせたダイアライザーの研究など、院長先生始めスタッフの方々には、日々ご尽力いただいておりますことを感謝しています。

おかけで私も透析歴34年になりました。実のところ、こんなに長生きできるとは思っていませんでした。昭和47年に生死の間をさまよい、その後も紆余曲折がありましたが、長い道のりを生きてくることができましたことに深い感慨を覚えます。
ふり返りますと、本当に多くの方々の支えがあればこその自分の命であると痛感します。先生やスタッフの方々、家族はもちろんのことですが、忘れてならないのは私たちの先輩が体調の悪い中、全腎協を結成し、「いのちとくらし」を守るために、更生医療の適用、身障者の認定など透析に関わる制度の確立のため運動をして下さったことです。
それだけに生かされている命を大切に、自分なりに努力していることがあります。基本はなんといっても5時間の充分な透析をしていただいていることです。次に食事管理ですが、検査データをみながら体力をつけるため、できるだけバランスのいい食事をとっています。うまくいかないときもありますが、以前の高カロリー・低蛋白・塩分3g・水分はかなり制限の、我慢の生活に比べれば天国のようなものです。
それと生活全般の水は、活性酸素を消去する活性水素豊富水を使っています。あとは、10年来続けています「ザ・リラックス健康体操」です。健棒で自分の体重を利用しツボをほぐしてから、ストレッチ体操をします。やはり長期透析の合併症として関節痛や動脈硬化などがありますので、筋肉のこりをほぐし、気の流れ、血液の循環をよくし、自然治癒力を高めるのにかなりの効果があると確信しています。私のお気に入りの体操です。とにかく自分の足で通院し、自律した生活が送れるよう頑張っているところです。

近年の透析は、効率もよく安全です。透析をしながらも希望を持って生きられる時代がきました。あとに続く透析者の皆さまには、「生きていて良かった」と思えるものをみつけていただき、大切に毎日を過ごしていただければ、同じ仲間としてうれしいかぎりです。