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年頭のごあいさつ

平成17年を迎え厳しい寒さが続いておりますが、皆様体調はいかがでしょうか。幸いインフルエンザはまだそれほど流行しているようには思われませんが、油断して風邪などひかないように充分に気をつけていただきたいと思います。

去る1月30日(日)には、恒例となりました三島クリニック講演会(第5回)も、皆様方のご協力もいただきまして盛大にとり行うことができました。ありがとうございました。今回の講演会では講演の先生が二次性副甲状腺機能亢進症の日本的な権威であられる名古屋第二赤十字病院の冨永先生でして、その話題の性質からもいささか内容が分かりにくい点があったかも知れません。

しかし、それではせっかくの素晴らしい御話がもったいないことですので、今回の透析室ニュースで、講演の内容の特に重要な点となる部分だけを分かりやすい簡単な言葉でまとめてみましたので、御覧下さい。そして皆様方の長生きのためのリン、カルシウム等のコントロールへの大いなる参考としていただけたら幸いと存じます。

理事長 溝渕 正行

 

第5回三島クリニック講演会〔要旨〕

上皮小体(副甲状腺)とは?

上皮小体(副甲状腺とも呼びます)は、頚部にある甲状腺の裏にくっついている米粒大の臓器で、普通4つあります。

 

上皮小体(副甲状腺)の働き

上皮小体(副甲状腺)は、上皮小体ホルモンを分泌します。上皮小体ホルモンのことをPTH(ピー・ティー・エイチ)と言います。このPTHの働きは二つです。一つは血液中のカルシウムを上げること、もう一つは血液中のリンを下げることです。

上皮小体(副甲状腺)は血液中のカルシウムの値を監視しています。そして、血液中のカルシウムが上がればPTHの分泌を減少させ、カルシウムが下がればPTHの分泌を増加させます。そうすることによって、血液中のカルシウムをいつも一定の範囲内にコントロールしています。

 

腎不全になると上皮小体ホルモン(PTH)はどうなるか

腎臓が悪くなると、尿中に排泄されるリンが少なくなり血液中にリンが蓄積してきます(高リン血症と言います)。また、食事の中のカルシウムを腸管でうまく吸収できなくなるため血液中のカルシウムが低下してきます(低カルシウム血症と言います)。

リンの蓄積や低カルシウム血症が続くと、高くなったリンが刺激となり、また、低くなったカルシウムを上げようと、上皮小体(副甲状腺)がだんだん大きくなり、PTHをどんどん分泌するようになります。PTHは血液中のカルシウムを上げるために、カルシウムの貯蔵庫である骨を溶かしてカルシウムを血液中に運び出してきます。

このように腎臓が悪くなったためにPTHの過剰な分泌が起こり、その結果骨が溶けていく病態を腎性上皮小体(副甲状腺)機能亢進症と呼びます。
この腎性上皮小体機能亢進症は、透析患者さんにとって生命に関わる深刻な合併症なのです。

 

腎性上皮小体(副甲状腺)機能亢進症の病態

高度に進行した腎性上皮小体機能亢進症では、過剰に分泌されるPTHによって骨がどんどん溶け出て骨量が減少します。そのため膝や踵(かかと)が痛くなったり、ひどくなると背が縮んだり、胸が変形したり、骨が折れやすくなります。筋力低下、かゆみ、イライラ感、不眠、集中力低下、頑固な咳なども出現します。

また、腎性上皮小体機能亢進症が進行しますと、溶けた骨から出てきた余分なカルシウムとリンが一緒になって骨以外の部分、たとえば血管壁、心臓の弁、関節などにくっついていきます。これを異所性石灰化と呼びます。
透析患者さんの命を左右する最も重要な疾患は、心不全・脳出血・脳梗塞・心筋梗塞などの心血管系合併症ですが、この異所性石灰化が、透析患者さんの心血管系の合併症の大きな原因になっているのです。

血管や心臓の弁に異所性石灰化が起こると血の巡りが悪くなったり、心臓の重篤な病気を引き起こします。残念ながら手術をしてもこれらの異所性石灰化は改善が難しいため、異所性石灰化が進行する前に大きくなった上皮小体を取り除く手術が必要となるのです。

 

腎性上皮小体機能亢進症の治療

まずは薬でPTHを下げる方法があります。腸管からのカルシウム吸収を促進する薬(活性型ビタミンD)を投与したり、リンを下げる薬などで血液中のカルシウムとリンの値を正常な範囲にコントロールすることによって、PTHの過剰な分泌を抑えることができます。また、直接的にPTHを下げる効果のある注射を透析日に打ったりします。

しかし、ある程度まで上皮小体が大きくなってしまうと血液の中のカルシウムが正常であったり、高いにもかかわらずPTHが過剰に分泌される状態になります。このような状態では薬でPTHを下げることができなくなります。薬による治療(内科的治療)が無効な場合は、手術によって大きくなった上皮小体を取らなければいけません。

次のような項目を満たすときには手術が必要です。
▼PTHが持続的に高い。 (PTH500 pg/ml以上)
▼超音波検査で大きな上皮小体が存在する。(直径10㎜以上)
▼PTHが高いために骨が悪くなっている。
以上の3つを満たし、かつ内科的治療でPTHを下げることができない時

手術の効果は劇的です。自覚症状は2~3日後より良くなります。レントゲン上溶けていた骨も改善します。

 

手術の方法

手術の目的は大きくなった上皮小体の量を少なくすることにあります。この手術を施行しても腎臓は良くなりませんから、残した上皮小体が再び大きくなる(再発)危険があります。頚に一部分残す方法では、再発したとき、もう一度頚を切らなくてはなりません。再び頸を切るのは大変ですので、頸の上皮小体はすべて取り除き、切除した上皮小体の一部を細かく切ってシャントのない方の前腕の筋肉内に移植する方法(上皮小体全摘出術後前腕筋肉内自家移植術)がもっとも用いられています。この方法ですと、もし再発したときには局所麻酔で簡単に移植した上皮小体を取ることができます。
頚の上皮小体を腕に植えて大丈夫かと心配されるかもしれませんが、まず100%働きます。

この術式では頸のすべての上皮小体を切除することが必要ですが、それは必ずしも容易ではありません。正常の上皮小体は米粒大で、脂肪の色によく似ており、見つけるのが容易ではありません。上皮小体は顎の下から心臓の脇(縦隔)まで存在する可能性がある、つまり必ずしも決まった位置にあるとは限りません。しかも上皮小体が4つではなくて、5つ以上存在する人が20%近く存在するからです。

手術の合併症としては、声帯を動かす神経(反回神経)が上皮小体の近くを走っているので、これを傷つけると声がかすれてしまいます。その頻度は約2%位で、しかも一時的です。透析をしている方は出血し易いので充分注意しますが、それでも500人に1人くらいは頚の創を開いて再止血をする必要があります。頚の傷はほとんどの人でわからないほどにきれいになります。

手術後は血液の中のカルシウムが下がり、大量のカルシウムとビタミンDの薬が必要になります。長期的にもカルシウムとリンを管理することは再発、再手術を防ぐために重要です。

 

透析患者さんの長生きのために

最近では、腎性上皮小体機能亢進症の治療目標は、「骨障害の予防」と言うよりは、「心血管系疾患の進展防止すなわち異所性石灰化の予防」であると考えられるようになってきています。
透析患者さんが長生きするためには、上皮小体の機能亢進状態(PTHが過剰に出る状態)を早期に是正することが最も重要で、そのためには、薬による治療(内科的治療)の限界を見極め、どの時点で手術(外科的治療)を選択するか長期的展望の上に判断する必要があります。

 

かぜ・インフルエンザ

普通のかぜとインフルエンザを混同してはいませんか。 普通のかぜの症状は、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳(せき)などが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはほとんどありません。

一方、インフルエンザの場合は38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。さらに、気管支炎、肺炎などを併発し、重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。高齢者や、呼吸器や心臓などに慢性の病気を持つ人は重症化することが多いので、十分注意する必要があります。最悪の場合は死に至ることもあります。

予防と治療

日頃から予防対策を
空気が乾燥すると、かぜやインフルエンザにかかりやすくなります。のどの粘膜の防御機能が低下するためですので、外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保ちましょう。外出後には手洗いを欠かさず、同時にうがいも励行してください。

インフルエンザの予防の基本は、流行前に予防接種を受けることです。インフルエンザが流行してきたら、感染しないために人混みや繁華街への外出を控えましょう。
風邪をひいたら、安静と睡眠、消化のよいバランスの取れた食事を心がけましょう。もし、インフルエンザと思われる高熱が出たら、かぜ同様安静にして休養をとることも大切ですが、まずは病院で診察を受けましょう。発症後48時間以内であれば、抗ウイルス薬による効果的な治療ができます。

帰ったら、手洗い、うがいを忘れずに!

 

物療機器のご紹介 「キセノン」

キセノン光治療器は、キセノン光を利用した疼痛治療機器です。
キセノン光は、体の深部(皮膚より7cm)まで到達し、広範囲にわたって血管を広げ、血流を改善し、さまざまな痛みに効果を示します。
さらに“干渉波の電気刺激”による筋肉マッサージ効果で凝りをほぐします。

一回の治療時間は10分程度で、個人差はありますが週2~3回の治療で平均3~4回目から症状の改善がみられます。キセノン光は太陽光線の波長の一部ですので、副作用の心配はほとんどありません。

適応症(以下の症状でお悩みの方に効果があります)
肩こり  五十肩  腰痛膝の痛み  頸の痛み
けんしょう炎  リウマチによる関節痛
筋緊張性頭痛  神経痛など