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ごあいさつ

撮影:平成20年9月20日

かつてない程の猛暑もおわり朝夕がめっきりしのぎやすくなってまいりました。この夏は日本各地でゲリラ豪雨などによる水害のニュースが次々と飛び込んできましたが、四国地方だけは水と無縁で極端な少雨となりきびしい水不足に見舞われています。ここ1~2週間、日中の温度差が大きな時候となってまいりましたのでこの時期体調を崩さないように充分お気をつけ下さい。
話は変わりますが、政局に目をむけますと私たち国民の生活を守って下さるはずの政府が不安定で全く機能しておりません。事故米(毒が入っている米)を国民に食べさせるという食料の安全性の問題、きちんと支払っていただけるかどうかあてにならない年金問題、安心して介護をうけられるかどうかの社会福祉問題、拉致問題など対外国の諸問題など早急に解決されなければならない問題が山積したまま放置されています。総理始め農水大臣が任期途中でさっさと投げ出して辞任し責任を果たしていただけません。国会議員は政治には上の空で心は完全に総選挙に傾いているような困った状況となっています。一刻も早く落ち着いていただいて諸問題解決に努力していただきたいものです。
今回の三島クリニック透析室ニュースでは6月末に当院の威信をかけて導入しました画期的な透析支援システムに関連しまして、より良い透析をするためには大変重要な透析器(ダイアライザー)及び透析液清浄化についての当院での新しい取り組みのお話をさせていただきます。ぜひ少しでも御理解いただき皆様方のより良い透析ライフのための知識としてお役立て下さい。

理事長 溝渕 正行

 

透析器(ダイアライザー)について

腎臓の代行をする血液透析で一番重要なのは透析器です。透析器のことをダイアライザーといいます。現在使われているダイアライザーの型には、中空糸型(ホローファイバー型)と積層型があります。

中空糸型ダイアライザーは髪の毛ほどの細いストロー状の糸(中空糸)を数千~1万数千本ほど束ね、円筒形のプラスチック容器に充填したものです。その中空糸の中を血液が通り、外側を透析液が反対向きに流れる構造になっています。中空糸の側面には目に見えない小さな穴が開いており、その穴を通じて血液中の老廃物が透析液側に抜けていきます。また、その穴を通じて、重炭酸などの不足しているものが透析液から血液に補給されます。

積層型ダイアライザーは、ストロー状ではなく、平たくてごく薄い、例えて言えばセロハン紙のようなものを数十層に重ねたものです。その薄い膜(透析膜)の間を交互に血液と透析液がそれぞれ反対方向に流れる構造になっています。その透析膜にも同じく小さな穴が開いており、その穴を通じて老廃物が抜けたり、重炭酸が補給されるということは中空糸型と同じです。
ダイアライザーは、いろいろ種類があり、それぞれ材質・大きさ・尿毒素の抜け具合が違います。当院でも現在15種類程度のダイアライザーを採用しています。その中で、各々の患者様に一番適していると考えられるダイアライザーを選択して使用しています。

 

当院の透析液清浄化対策

最近のダイアライザーは大きな毒素を除去する目的で、側面にあいている毒素が抜ける穴(ポアといいます)を大きくしているため、透析液の清浄化がより重要になっています。といいますのは、大きな穴から血液中の大きな毒素が抜ける代わりに、透析液中にあるエンドトキシン(細菌が出した毒素)やその他の不純物が血液中に入ってくる危険性が高まるからです。

このようなことから当院では透析液の清浄化対策を他施設に先駆けてずっと以前より取り組んできましたが、更なる清浄化対策ということで6月末にさまざまな改修を行いました。同時に地震対策も行っておりますのでその内容をご紹介したいと思います。

① 透析液供給装置、水処理装置(RO装置)などの下部アジャスターに固定金具を取り付け、地震時の装置の移動・転倒を防止しました。

② 機械室内の各装置への給水・排水等をフレキシブルホース(弾力性があり折れないホース)に接続しました。これによって、地震の時によくある配管破損による水・透析液漏れを防止できます。

原水ラインフレキシブルホース

RO水排水フレキシブルホース

③ 機械室の配管はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)配管に変更しました。
PVDF配管は微生物の付着及び増殖の可能性が非常に少なく、腐食せず抜群の耐薬性を持ち溶出物もないことから超純水ラインに使用されるもので、透析液の清浄化対策のためには最も優れた配管だと言われているものです。

④ 透析室内の透析液配管はKCチューブに交換しました。
KCチューブは、内面がフッ素樹脂で、高度な内面平滑性があるため微生物が付着して増殖することが少なく、また弾力性があり強度もあるため地震時に破損しにくいチューブです。

⑤ 全ての透析装置に最高に清浄化された透析液を供給するため、透析液清浄化フィルター(ダイセン社製)を設置しました。

 

以上のように現時点で考えられる全ての方法を取り入れ究極の透析液清浄化システムを構築しています。

透析療法では、4時間透析で120L、5時間透析で150Lもの透析液が必要です。これだけ大量の透析液が透析膜を介して血液と接するわけですから、ごくわずかの透析液の汚染であっても、長期にわたってそれが繰り返されれば体に慢性的な炎症が起こり、さまざまな透析合併症を引き起こします。
透析の質の良し悪しは短期間では分かりにくいものですが、長期間になるとその差は歴然としたものになります。

新しい透析装置と透析システムの導入は目立ちますので皆様もすごく変わったという印象を持たれたことと思いますが、実は目に見えないところでも重要な改修を行っていたということをお分かりいただければ幸いです。

 

日常生活と姿勢について

管理栄養士
介護予防運動指導員(栄養室) 高石 美由紀
介護予防運動指導員(物療室) 外山 早苗

姿勢が悪いと肩、腰、膝の痛みや転倒、骨折の要因となります。生活の中での動作は良い姿勢をつくるエクササイズ(運動)にもなる反面、時には腰痛などを引き起こす原因にもなるので注意が必要です。今回は日常生活でよい姿勢をつくる工夫を考えてみましょう。
①立つ時、座る時、下腹に力をいれて背すじをのばしましょう。
②座って足を組むのは一時的ならよいが長時間はやめましょう。
③荷物や傘を持つときは身体にゆがみがでないよう時々持ちかえて。
④ショルダーバッグの肩かけは同側ばかりせず反対側も。
⑤椅子の背もたれには頼らずに座りましょう。
⑥歯磨きのとき片足立ちをしてみましょう。
⑦ふとんはまめに上げおろしをしてみましょう。
⑧歩幅は少し大きめを意識しましょう。
⑨電車、バスはなるべく立つようにしましょう。
⑩信号待ちのときはつま先立ちをしてみましょう。

毎日の暮らしの中でほんの少し意識や心がけをかえてみませんか?

(高齢者の方や痛みの強い方は無理をしないでください。)

 

PET(ペット)について

診療放射線技師  山内 由美

最近、「ペット」という言葉を耳にされたことがある方がいらっしゃると思います。「ペット」とは、英語の略語で「PET」と書き、癌の検査の一つです。今回は「PETとはどういった検査なのか」ということについてお話致します。
CT(シーティ)は体外からX線をあてて通り抜けた像を画像化するのに対して、PETは放射線を出す物質を含んだ薬剤を体内に入れてそこから出てくる放射線を装置で検出し画像化する検査です。PET検査でよく利用されるのは、FDGというブドウ糖に似せた薬剤です。この薬剤を注射すると、癌細胞があるところにこの薬剤が集まり画像に表示されるというわけです。
なぜその薬剤が癌細胞に集まるかといいますと、癌が大きくなるためには正常な細胞と比較すると3~8倍のブドウ糖を必要とするという性質を利用します。つまり、ブドウ糖によく似せたこの薬剤を癌細胞はブドウ糖だと思ってたくさん取り込んでしまうのです。
PET検査の優れた点は、一度の検査で全身の検査ができ、予期せぬところの癌を発見することができることです。しかし、全部の癌がこの検査でカバーできるわけではありません。早期の胃癌は内視鏡で調べなければいけませんし、脳や薬剤の排泄ルートとなる腎臓や膀胱の癌に関しては診断がしにくいという欠点もあります。

 

「第8回三島クリニック講演会」のお知らせ

毎年ご好評の講演会を下記の予定で開催致します。
講師の先生は、日本の透析医学会の権威であり、日本透析医学会理事長であられる秋澤忠男先生に御依頼しております。

◆日時 平成20年11月2日(日曜日) 午前9時30分
(当日は9時までにご来場ください)
◆ 場所 コスモパル
◆ 講師 昭和大学医学部 腎臓内科教授
秋澤 忠男 先生


◆ テーマ 「丈夫で長生き -透析の秘訣-」

秋澤先生をお迎えしての講演は、またとない機会でございますので、御家族お誘い合わせのうえ、ぜひ御参加ください。
なお、皆様のお知り合いで、他の施設で透析を受けられている方で参加ご希望の方がいらっしゃいましたら、ぜひお誘いください。(他の施設で透析を受けられている方が、講演会出席を希望される場合は、申込書を提出していただく必要がありますのでお申し出ください。)

 

患者様からの投稿「人工透析で生かされて」 篠原 静香 (透析歴25年11ヶ月)

私の透析導入は1982年10月2日、この日から医学の力を借りなければ自分の力だけでは生きてゆけない人生が始まりました。
26年の透析人生の大半は会社と病院の間を何時も駆け足で走り抜けていたような思いが致しますが、幸いな事に会社の環境にも病院の対応にも大変恵まれていましたので、多忙な日々も余り苦しいとか悲しいとか思わないで、この病気は運命だと受け入れ生活のリズムの中にうまく組み込んで生きて参りました。
2001年に会社を退職後は、今年91歳を迎える母と住むために1年のうち4分の3は東京から生まれ故郷であるこの地に戻ってくることになり、以前より時々帰省した時にお世話になっていた三島クリニックで再びお世話になっています。故郷にこれだけの設備が整い清潔で職員の礼儀正しさが行き届いた病院があってそしてめぐりあえた事は本当に幸運であったと思っております。
私の日常は出来るだけ自分は病人だとは思わないようにして、人としてこの世に生まれてきた以上思い残すことのないように、やりたい事、遊びたい事には出来るだけ挑戦したいと思っております。東京へ戻れば新しい文化を吸収する為さまざまな所を訪れたり、観たり聞いたり友人と会ったりして心を一杯に満たせて再び母の許へ戻ってくるのです。
田舎では少しばかりの野菜作りとバラの花作りに悪戦苦闘したり、時間があれば母を車にのせて自然の中をドライブするのが楽しみです。
60歳の峠もすでに過ぎて、この先何度桜の花や紅葉をみることが出来るか分かりませんが、残された人生はこの病気になったからこそめぐり会った、尊敬する先生方、病院の職員の方々、沢山の友人、知人に感謝しながら元気に生きていきたいと思っております。そして私の透析導入の時、50日間1日も休まず、不慣れな東京の街を病院へ通って私のベッドサイドで見守ってくれた母との時間も大切にしながら…。

 

栄養室より

管理栄養士 高石 美由紀

水分摂取と塩分について

暑い夏の間に、水分摂取量が増えていませんか?
水分摂取量を減らす一番の方法は塩分をとり過ぎないことです。塩分をとり過ぎた後ののどの渇きを我慢できる人はいません。透析食では、一日の食塩摂取を6g未満にします。

では、実際にどのくらいの食塩を摂取しているのでしょうか?
食塩の摂取量は、透析間の体重増加から推定できます。
体重(水分)増加 1kg → 約8~8.5gの食塩摂取
尿量 100ml  → 約0.5gの食塩摂取

例えば、透析間の体重増加が3kg、尿量が500mlとすると
8g×3 + 0.5g×5 = 26.5g

約27gの食塩を摂取したと考えられます。一度計算してみてください。そして食べたもの・飲んだものを思い出してくらべてみてください。

いつも使う湯飲みやコップは小さいものにすると飲みすぎに気をつけることができます。お試しください。