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年の瀬を迎えて

さざんか
撮影:平成16年12月23日

平成16年もいよいよあとわずかとなって気分的にあわただしい冬らしい時期を迎えました。今年は、たび重なる台風や地震など災害の多いつらい年でした。来年は、地球にとって災害の少ない明るい、楽しい年になってほしいものです。

皆様方にとっても合併症のない体調の良好な1年になるといいですね。そのためにも是非リンのとりすぎをしないで健康の最大の敵である動脈硬化を防ぎ、長生きしていただきたいと思います。

理事長 溝渕 正行

 

リンに気をつけましょう〔Ⅱ〕

前回の透析室ニュースでは、「リンが高いとなぜ悪いのか」について説明しましたが、お分かりいただけましたか。分かりにくい部分もあったかと思いますが、「リンをコントロールすることは心臓や血管を守るために非常に重要なことで、それが長生きにつながる」ということだけは、ぜひご理解ください。

なお、動脈硬化と聞くと、コレステロールという言葉を思い浮かべる方も多いと思います。確かに血液中のコレステロールは動脈硬化の重要な促進因子ですが、それは腎臓の悪くない一般の人の話です。透析を受けている方の動脈硬化の最も重要な促進因子は「リン」であると再認識してください。
血管石灰化による動脈硬化が進行してしまうと、現状ではよい治療法はありません。ですから、血液中のリンが高くならないように日頃から予防しておくことが大切です。

さて、ここでリンが上がる原因はと言いますと、何より食事からの過剰なリン摂取ということが圧倒的に多いのです。従いまして、リンを上げない基本は食事管理ということになります。検査でリンが高い場合は、まず食事の内容を反省していただく必要があります。どんなものにリンが多いのか、どれくらい食べても大丈夫か、自分自身の体のためですから、勉強して自分にあった食事管理というものを見つけてください。
一般的に、たんぱく質を多く含む食品(肉類、魚類など)やカルシウムを多く含む食品(乳製品、小魚など)には、リンが多く含まれています。食べ過ぎてはいけません。いつでも気軽に栄養士に相談することをお勧めします。

次に、リンを下げる薬についてですが、皆様の大部分の方がリン吸着剤を服用されています。リン吸着剤(炭酸カルシウム、炭カル、レナジェル)は、胃の中で食物と混ざり、食物に含まれるリンをくっつけて、消化管(主に小腸)でリンを吸収されにくします(結果的に血液中のリンを下げます)。食物とよく混ざる必要があるということから、服用のタイミングが重要です。すなわち、食事直前、あるいは食事中か遅くとも食事直後に服用しなければ効果はありません。忘れていたからといって食後30分以上もたって服用しても効果が全然ないばかりか、かえって副作用の方が強く出ることにもなりかねません。忘れることがないよう、「食事を始める時には、まずリン吸着剤」ということを習慣にしてください。
リンを下げる薬は大事なのは分かっているけど、飲みにくい、飲むと便秘になったりおなかが気持ち悪くなる(特にレナジェル)などといった理由で、きっちり飲めていなくて薬がたくさん余ってきているという方もいらっしゃると思います。そういう方は、勝手に服用を中止しないで、ぜひご相談ください。

ここで話を戻しますが、血管の石灰化は、カルシウム・リン積が60くらいになると起こりやすいということが分かっています。カルシウム・リン積とは、カルシウムとリンの値を掛け合わせたものです。なお、定期検査の後お渡ししていますレーダーチャートにはCa×Pという言葉で表しています。
以前は、カルシウム・リン積で70以下が目標と言われていましたが、現在では55を超えると異所性石灰化が起き易いと考えられるようになっています。また、カルシウム・リン積はほとんどリンの値で決まるということがわかっていますので、リンが高いとカルシウム・リン積は上がります。カルシウム・リン積を55以下に維持するためにはリンの値は5.5mg/dl以下が理想ということになります。
これからは、Ca×P(カルシウム・リン積)の値にも注意して検査結果をみてください。そして、その値が少なくとも65を絶対超えないようリンをコントロールしてください。

高リン血症の対策として、透析でできるだけ多くのリンを除去するということも重要ですので、リンが高い人に対しては、リンの除去効率がよいダイアライザーの選択や透析時間の延長などが考えられますが、透析でのリンの除去量には限界があり、血液中の余分なリンを取りきれないのが実情です。従いまして、結局のところ、皆さんに「食事管理とリンを下げる薬を時間をまちがえずにきっちり飲む」ということを守っていただけなければ、リンのコントロールは不可能だということをご理解いただきたいと思います。

 

フットケアについて

透析治療の進歩と共に、長期透析患者さんや高齢の透析患者さんが増加しています。さらに、糖尿病が原因で透析を受けなければならなくなった患者さんが増加しているということもあり、最近透析患者さんの足病変が合併症として注目されています。

足の病気で特に問題なのが「閉塞性動脈硬化症」とよばれるものです。この病気は、簡単にいうと足の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったり、つまったりして、足の充分な血流が保てなくなる病気です。足の血液の流れが悪くなると、特に足先の冷たい感じやしびれがおこり進行すると歩行が困難になります。
もっと血行が悪くなると、足の皮膚の壊死(えし)、潰瘍(かいよう)ができます。血流が悪いため治りがわるく患部はどんどん拡がります。同じように足の小さな傷も治りにくくどんどん悪くなります。特に糖尿病の方は、神経障害もあるためかなりひどくなるまで発見が遅れることがあります。

このように、足の病気は進行すると歩けなくなったり、ひどくなると足を切断しなければならないということもありえます。そういう事態を避けるために、足を定期的に観察して、病変を早期に発見し、早期に治療していくということが大切です。これを「フットケア」といいます。

当院でも定期的に看護師が問診あるいは足をみせていただきにベッドサイドへ伺いますので、ご協力ください。

 

物療機器のご紹介 「スーパーライザー」

スーパーライザーは、体の深いところまで届く特殊な赤い光(近赤外線)を利用して治療を行うものです。
この光には主に2つの効果があります。
①鎮痛・消炎(痛みとはれをひく)効果。
②自分で病気を治そうとする能力を引き出す効果。

首への照射

星状神経節(大きな神経のツボ)という最も重要な神経の集まっているところに光をあて、ストレス等で緊張している神経を正常な状態に戻し血行を改善することにより多くの病気に効果を発揮します。

筋肉・関節への照射

筋肉・関節の深いところに光をあてることにより、神経の興奮を抑えたり、血行を改善して痛みをとります。

適応症(以下の症状でお悩みの方に効果があります)
捻挫 ムチウチ 五十肩 肩こり 腰痛 膝の痛み
テニス肘  けんしょう炎  肉離れ  神経痛
更年期障害  自律神経失調症

照射による皮膚の刺激や痛み、その他の副作用もありませんのでご安心ください。